死に損ないの夏

平家蛍

1話プロローグ 記憶

 時と共に色はあせる。どんな名画でも色彩は落ちていく。それは、記憶も例外ではない。だから、色あせた記憶を着色する。忘れてしまわないように。出来るだけ近い色で。

 だけど、同じ色で着色することはできないから、きっと僕が大切にしている記憶は色を何層にも塗り重ねられて、当時の色彩を保てていないのだろう。

 

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