7話 スコール

スコールのせいで妙に肌寒い。置き時計の短針がⅣを指す。かれとの約束の時間が近い。身支度をしようと窓際のドレッサーの鏡を覗く。

隈が黝く目立った。指で撫でると固まり出したパテのように隈が削れ落ちた。満足して、コンシーラーに手を伸ばすと恒常性を失った顔が眼下から崩れたいく。浅黒いわたしの肌と同色のパテが溶け落ちる。すぐに眼球がこぼれ落ち、下しか見えない。戻そうと眼球に触れると痛みが走る。耐えて眼窩に眼球を戻すと鼻が崩れ出していた。鼻を押さえると削げ落ちた。

窓の外から笑い声が聞こえる。

怖くてカーテンを閉めると真っ暗になった。

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