8話 夕焼

 渡り廊下の斜陽、乳白色の壁をセピアに染める。物心つく前の記憶のように粒子が粗い。

「ずっと仲の良い友達でいてね」とわたしはかれにここで言ったのだ。

 「きっとそれがいい」とかれはセピア色の窓から外を眺めながら「高校を決めた?」と話題を変えていた。

 だけど、かれはここにいない。陽は傾かない。鮮明さ失いつつ在り続けている。風化してなくなってしまうのだろう。

 風化していくのは辛い。ずっとは今も続いているのだろか。続いているなら終わりがわかる前に終わらせたい。

 だけど、気が付かない内に終わってしまったから、ここがまだ、存在している。

 

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