概要
燃える想いは、人の想いは――文字ではあらわせないのだろうか
【あらすじ】
天和(てんな)三年。江戸。「はせを」という五分刈りの中年の男がいた。彼は、青物を売る娘「なな」の訪問を受ける。「なな」は天和の大火で見かけた、庄之介という侍が気になっていた。庄之介は吉祥寺の栴檀林(せんだんりん)というところで学ぶ身であり、おいそれと声をかけることはできない。そこで「はせを」は一計を案じ、「なな」に文(ふみ)を書かせて、それを庄之介に渡すという手段に出る。しかし庄之介は立身出世を目論んでおり、学問の邪魔と文を破り捨てる。怒った「なな」は栴檀林に火をつけるが……。
天和(てんな)三年。江戸。「はせを」という五分刈りの中年の男がいた。彼は、青物を売る娘「なな」の訪問を受ける。「なな」は天和の大火で見かけた、庄之介という侍が気になっていた。庄之介は吉祥寺の栴檀林(せんだんりん)というところで学ぶ身であり、おいそれと声をかけることはできない。そこで「はせを」は一計を案じ、「なな」に文(ふみ)を書かせて、それを庄之介に渡すという手段に出る。しかし庄之介は立身出世を目論んでおり、学問の邪魔と文を破り捨てる。怒った「なな」は栴檀林に火をつけるが……。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!悲恋物語が、純粋で意志の強い少女の物語としてよみがえる
ある有名な悲恋物語が、解釈を変えて、この時代によみがえります。
少女は若い男性に心惹かれ、その思いが遂げられないことで、男に会いたい一心で大事件を引き起こす。江戸時代以来、「愚かな少女の一途な思い」というテーマで語られてきた物語が、この物語では、「若い男性の対応に納得できなくて、どういう結末になるかわかったうえで」、それでも自分の意志で同じ大事件を引き起こす、という物語として語られます。
しかも少女の「純粋さ」という点は変えずに。
そこに、やはりある有名な人物が絡み、その人物が後に有名になる契機とも絡んでくる。
将軍のお膝元になって百年に満たず、まだ成熟した都市になっていない江…続きを読む