第8話


 ノイアーが生まれてから2年。このとき、ノイアーは自分があたためていた計画を決行する。

 今日はノイアーの誕生日なのだが、あまり大きなお祝いはしない。


 何故かというと、この世界では生まれてからの死亡率が高いため、この世界的にみて一応の安心ができる3歳の時と、成人として見られる年齢のだいたい半分ということで7歳、そして最後に成人まで生きられた喜びのため15歳に大きな誕生日会をするのが一般的なのである。


 そのため、他の誕生日の時のお祝いは親しいものだけが贈ることとなっている。もちろん、誕生日会も親しいものだけ、たとえば家族だけとかそんな感じで行われる。



 今回のノイアーの誕生日会は家族だけで行い、ナキセねぇの緊張を和らげる予定で、違う月で行うナキセねぇの3歳の誕生日会で親しい人達をこのラングレイ家に集める予定だそうだ。


 そんな感じなのだが、ノイアーに至っては自重する気がなさすぎる。それは作戦のことなのだが、3歳の誕生日で好条件を引き出すための名前売りのようなものだ。


 と、いろんなことを解説していたがとうとうノイアーの誕生日会が始まる模様だ。


◆◆◆



 家族とラングレイ家に仕えてくれている執事達、メイド達、調理師達、兵達と雑務でも頑張って働いている庭師達その他幾人がラングレイ家のグラウンドで集まっている。


 グラウンドには、ノイアーの指示で執事達とメイド達でみんなで食べれるようにセッティングをしてもらっていた。


 ノイアーは一応主役なので後で出てくる感じだ。

 すると、音楽の序奏がなる。


 《パラッラッラッ。パラッラッラッ。パラッラッラッ。パラッラッラッ。》


 《パーパッパパーーー!パーパッパパーーー!》


 始まった演奏の間にラングレイ家達みんな全員が自分の名があるところの椅子に座っていく。それを見た人たちもメイド執事問わず、自分の名がある場所に座っていく。

 そして最後に、

 《パパパパン。パパパパン。パパパパン。》


 「演奏ありがとうございました。続いては、ラングレイ家当主の言葉とノイアー様の自己紹介です。お願いします。」


 呼ばれたラングレイ家当主とノイアーは皆が着席しているものより中央の円状の段の上で喋り始める。


 「紹介にあづかったラングレイ家当主。ガルフ・サー・ラングレイである。このような席に来ていただけたこと嬉しく思っている。私としては、政争に巻き込まずに終われば良いと考えている。少々話がそれたな。とりあえず、子が元気であれば良い。」



  スピーチを終えたガルフはとっとと席に戻っていた。

すると、司会役のものがノイアーに向かってマイクを渡し、「頑張ってください。」と言い去っていった。ノイアーは体をしっかりと伸ばし深呼吸をしてからしゃべりだす。


 (ここで、生き延びて楽しく暮らすための計画の序奏を開始する!)


 「お足元の悪い中、こんなにもたくさんの人達と逢えたことはとても嬉しく思っています。では本題である自己紹介を始めさせていただきます。ガルフ・サー・ラングレイとレティシア・ラングレイの次男ノイアー・ラングレイと言います。今後とも良き付き合いがあることを願っています!」


 明らかにおかしい(2歳の子供)スピーチではあるが、周りは良いように受け取っていったものが多かった。


 そこからは、みんなに楽しくしてもらうためノイアーが考えたゲームを配置していた。

 (これこそが、第二陣。楽しいことでとりあえずいい感情にする作戦。)


 ノイアーが作った遊びは、ノイアーが外の草で作ったモギボール。これを10メートルの的に当てたら。ノイアーが試作で作ったベッコウ飴をプレゼント。

 さらに、ノイアーが作った盤上戦術。優勝したらこれ、【時止めの花姫】をプレゼント。

 というゲームを用意していた。

 他には簡単な物で輪投げを作ってやらせている。優勝するといいことがある。


 このように、ゲームで注意をひいて父ガルフのもとへ歩いていく。


 ガルフのもとまで来たノイアーはガルフに声をかける。


 「父上。ノイアーです。」

 「どうした?私に声をかけるなんてな。」

 「今回の誕生日会ありがとうございました。」

 「そうか。喜んでもらえたなら嬉しい。それと、三女のナキセが次の誕生日会では、親しいものだけとは言うが、人が増えるのは一緒だ。うまく誕生日会をこなすために協力してやってくれ。」

 「もちろんです。父上。それと、自分の3歳の誕生日会のときのお祝いなのですが、教師を派遣していただきたいんです。優しい感じの人で。」

 「そうか。考えておこう。時間だ。これからはお祝いを渡していって、最後に私とノイアーの言葉で終わりだ。」



 父上ガルフとの話し合いが終わったノイアーは自分の名がある場所に戻っていく。

 それを見ていたガルフも少しだけ笑った表情で自分の名がある場所に戻っていく。


 そして最後に父上ガルフとノイアーがしゃべり、誕生日会は終わっていった。

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