第7話

 (よし、とりあえずお花をキレイのままで作っておける魔法?魔術?錬金術?を頑張るぞ。エシュリアには…………寝る前に言っておいたはずだしな。……………わかっていれば)


 その時タイミングよくノックがなる。

 〔コンコンコン!〕

 「エシュリアです。入りますね。」


 エシュリアが部屋に入ると同時にノイアーの赤ちゃん言葉で選んだ花を運んできた。


 「だ~う!」

 「喜んで頂けてよかったです。」


 エシュリアが持ってきた花をテーブルの上にのせていく。1番左端っこに今回のものとは違う花をのせて、右側にはノイアーが選んだ花をのせていく。

 その後、エシュリアが今回使う魔術を教えてくれる。


 「ノイアー様よろしいでしょうか?」

 「だ~う!」

 「それでは始めさせて頂きます。

今回使うのは、自身の魔力とこの薬剤です。」


 エシュリアは、話の途中で懐から栄養ドリンクのような瓶をテーブルの上に出す。


 「それでは試しに私の花の方で行います。

まず1つ目、使いたい花をテーブルの中央に置き、根っこがついているものはここで切ります。次の2つ目のは、1つ目で切った茎の断面の部分に私が持ってきた薬剤を小匙1杯ほど垂らします。最後の3つ目は、自分の魔力を薬剤を垂らした茎からそっと流し込み薬剤と魔力を混ぜながら花びらの方まで流していきます。花びらの方までいったら、最後に花が淡く光りますのでそれで完成です。ただ、このときに自分の魔力を強くすると失敗してしまいますので気をつけてください。」


 エシュリアが真面目に説明している間、ノイアーもしっかりとした説明を聞き逃さないようにしていた。だが、エシュリアにとっては赤ちゃんがじっとしているだけなので説明が通じているかがわかっていない。なので

 (諦めるまではやりながら教えよう)

とエシュリアは思っていた。


 最初のノイアーの魔術の練習は完全に詰まっていた。それは

 (あ~~!言葉が通じない!………最初はいいんだ。花の根っこを切った状態でテーブルにのせるだけだから!まさに初心者向けのことだから!でも、この体じゃ薬剤の小匙1杯入れるのに疲れるんだよ!……………でもまだいい。ここはエシュリアに変わってもらった。ただ最後の魔力を流し込む感覚がむずい!いつもお腹で練習してるから意外に行けそうなところまでくるのに、混ぜる工程が難易度を上げてやがる!)

と少々心が苛立っているが、赤ちゃんのノイアーの顔には楽しそうにうつっている。

 これを見ていたエシュリアは、ノイアーのために頑張ってわかりやすい言葉がないか考えていた。

 でも、ノイアー言葉はわかるんだよね。エシュリアの思いは報われるのか。


◇◇◇それから翌日の夜中


 あれから、ノイアーは赤ちゃんのサイクルでできるだけのことをしつつ就寝したり授乳で栄養を取ったりおむつを変えてもらったりしていた。

  その間にも魔力を体の中で動かす練習をしていた。

 それにより、初めての魔術で残すところは魔力と薬剤を混ぜながら流し込む作業だけになっていた。

 そして夜中にノイアーが1人で起きた。


 (よし、誰も俺の部屋にはいないな。………よし!エシュリアに伝えられたか心配だったが、ベットの横に魔術に必要なものを置いてあるな。)


 

 それに気づいたノイアーは、黙々と魔術の練習をする。すると、やっとの思いで初心者向けの魔術を発動することに成功した。

 初めて出来たのは、淡い蒼色のバラのような花で出来た魔術【時止めの花姫】。


 この魔術は薬剤を入手するのが大変であるが、魔力の操作や手順などは初心者向けである。まあ実質的に言うと上級魔術ではある。

それを知らない本人は、

 (やった〜!はじめての魔術だ~!)

と、ただただ喜んでいる。


 ちなみに、寝る前にこの時止めの花姫を追加で4つ作っていた。合計で出来た5本を大切に部屋にあった鍵付きの宝箱に入れている。


 ノイアー的には、プレゼントを渡すにはまだ早い。今回のことで自分の成長速度が早くても気にしていないことがわかったので、計画を早めてみることにするようだ。

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