第10話
(よし、ここでの情報もある程度は入ってきたからそろそろ訓練しないとなー。でも3歳の誕生日で教会に行って、あればだけどステータスと魔法の特性とか自分のスキルとかが今すぐはわからないから〜。)
などと愚痴を心のなかでこぼしていたノイアーだったが、今は姿勢正しく授業を勝手に受けていた。
朝食会が終わったあと、一番上の姉が今年で8歳なため、王都の学院に通うため勉強をする予定だった。
あと4年で学院に入らないといけないからだ。
学院には、階級があり上から1年でABCDに分けられる。特別にすごい生徒が多かった場合はSクラスだとか。そして、学院には定員があり、王族から平民まで幅広く集まるため、優秀な成績を残さないといけない。
などと、部屋の端っこで魔法の本を読んでいた。
ちなみに読んでいるのは、【魔獣の投げモンキーでもわかる!】という題名の本である。
授業が流れていくときに、ノイアーは立ち上がり、部屋を出ていく。
〈ガチャ!〉「あ~。とりあえず庭は開いてるかな?………まず、フリージア姉様は授業中。母様とカティスはどこかでお茶会だったはず、カティスは6歳だけど不安しかないな。…………それと、ナキセは自室で本を読んでいるはずだから安心だ。
ただ…………ただウィンブルだけが予定がわからないから会いたくないんだよな。」
少々長めにしゃべっていたノイアーだったが、ちょうど話のキリがいいときに庭と屋内訓練場の分かれ道に来た。
ノイアーがそっと顔を出して右側の通路を目と耳で数秒確認し、反対の左側も同じようにする。
「とりあえず今日は天気がいいから外は混みそうだし、屋内訓練所でいいかな。」
通路を確認したノイアーは、屋内訓練場に向かっていく。
特に問題もなく屋内訓練場にはすぐについた。
屋内訓練場には、円形のグラウンドとその周りに観戦できるようにイスが並べられている。
特に気にすることなくノイアーが円形のグラウンドに入っていき、周りを観察する。
「へ〜………結構広いな。それに前に母様が言ってたようにグラウンドと観戦する人の間に低い壁と魔導具があるんだな。壊さないようにしよ。」
確かに低い壁は、ただ頑丈なだけだが、4箇所に小さい魔導具がある。それは、もしグラウンドの中で何かがあってもいいように結界術が組み込まれている。ただし、本来の目的はこのラングレイ家を襲いにきた者たちから逃げるために一時的な避難する場所の確保のための結界術でもある。
周りを確認したノイアーがその後に誰もいないことも確認して、自分で考えたのか訓練をし始める。
「とりあえずは死なない方法。次に逃げる方法。最後に倒す方法。1つずつゆっくりやっていくか。まだ2歳だしな。」
ノイアーはとりあえずグラウンドの中心に立つ、そして目を瞑り自身の感覚を体内に向けていく。
(身体には何かが流れている。小さい時から動かしていたからかわからないけど、薄っすらとだが全身にある。でも、本命はへそよりみぞおちのあたりに魔力がたまってる。
仮としてだけど、ここが魔臓で間違いない。)
いったん身体の魔力を慎重に動かしたため、ノイアーは目を開いて、ゆっくりと呼吸をしながら緊張を解いていく。
「ふぅ~………あとは魔法を覚えるための詠唱文。そして、魔術発動の魔法陣。…………でもどっちも知らないしなー。無難に身体強化が一番いいよね。死なないためにも逃げるときのためにも。」
少し自分の中で整理をしたノイアーは、自分の魔力を慎重に魔臓から動かして、全身に流していく。多少のムラがあったり、魔力の操り方に失敗したりと色々あり、特に大きな成果が出ることはなく今日の訓練は終わった。
というのも、少し暗くなってきたので訓練をしている兵がこっちに来る可能性もあり、とりあえずの撤退だった。まぁ~、メイドのエシュリアに見つかると大変なことになりそうだと思ったのが一番だったようだが。
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