概要
今は亡き妻キヨラへ愛を込めて
私はフィクションでしか表現できないものがあり、サイエンスフィクションでしか表現できないものがあると思っています。埴谷雄高が死霊において思考実験として釈迦と大雄との対話を描こうとしたように、現実には不可能な対話がフィクションのなかでは表現しうると思っています。埴谷の弟子の高橋和巳が邪宗門において、架空の教団を舞台に戦前戦後の日本を描こうとしたように、高橋の友人の小松左京が地殻変動によって日本を沈没させて日本民族が日本という島国を離れてどのように生きていくのかを表現しようとしたように。私は現実には存在しない星での出来事を現実世界とシンクロさせて、現実世界を描こうと思いました。