第5話 ニンジャ
簡単財布の評価が変更されて、わが団地は債務超過に転落して破綻認定されて他の財布団地に食われてしまいました。 食われる直前にはわが団地の財産は整理うんこ機構の管理下にあり精算法人S 財布団地のものであるにも関わらず、合体完了の当日に、その引き継ぐ財布団地の小僧たちが大挙してやってきて、我らの団地の新しい備品の一部をどさくさ紛れに奪いにきました。ヨイショヨイショと備品を運ぶ声のあと、小僧たちは何故か興奮していて、口々にうんこ検査マニュアルの一部のなむうんこ~うんこ~を唱え始めました。その目は血走り、唱える口にはオイルが白く泡立っておりました。小僧たちは、親玉たちに先導されて、あたかも革命が起きたかのようでした。我らはなすすべなく、その略奪行為をじっと見ていただけです。我らにあったのは食われたもののあきらめだけでした。 破綻認定された我らの団地を引き継ぐことになった団地は、合体完了迄ニンジャを送り込みずっと監視を続けました。ニンジャは整理作業をする我らに成績を口にしました。潰された我らに何故成績などあるのでしょう。ニンジャは暗い目をして我らを監視し続けました。ニンジャは食う側の親玉から命じられて不穏な分子がいないかをチェックしているようでした。食う側に採用される数はぎりぎりまで発表されず、我らの十分の一ほどが採用試験やら仕組まれた面接のあと採用されました。彼らは二段階ほど降格させられて、従順な子羊を演じてニンジャのチェックを掻い潜り採用に至ったのでした。私は彼らを責めません。彼らにも妻も子もあり生活があるからです。彼らも納得して採用されたとは思えません。 私は食う側に反発を感じて、ニンジャに潰された我らに成績などありますかと問いました。ニンジャはそのような質問が返ってきたことに驚いて、黙って部屋を出て行きました。
私の所属したブランチは若いものが多く、責任者をしていた私は採用されるかどうかわからない食う側をあてにすることなく、若い彼らに第二の人生を歩ませるべく彼らの選択に任せました。彼らは早々に転職先を決めて団地を去って行きました。 私はぐずぐずと整理作業に没頭しました。何かをしていなければいられませんでした。私の中には長らく勤めた団地の末路を確かめたいという思いがありました。若い彼らのいなくなった部屋で、私は長い間に蓄積されたデータを整理し続けました。ニンジャに逆らい、若いものたちを外に出させた私は選抜に残れませんでした。当然のことです。
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