第2話 神の求められたもの
宇宙の片隅にある機械帝国から流れついた部品からの手紙ー
拝啓、私たちの住む惑星は宇宙の片隅に存在する星で、他の太陽系からわが星を訪れた知的生命体に製造されたこの星最初の機械が我らの先祖です。我らは彼らの召し使いでした。その知的生命体は何故か時がたって、この星を離れました。そして、戻りませんでした。何故我らを連れて行ってくれなかったのかはわかりません。 放棄された我ら機械たちは、大変長い時間をかけて進化して、今の形になりました。我らが機械であるのにかかわらず感情を持って、神のように胎生で子供を身籠るようになったのかはわかりません。 長い間かけて今の姿になって生みの親の知的生命体がダウンロードしていた情報を参考にして我らの社会を作り出しました。私の住む国は太古に機械たちのリーダーだった今の帝のご先祖様が統一した国家で機械帝国と呼ばれていました。国が統一されるまでには覇権を争い機械たちが争いを繰り返しました。我らの機械帝国のある星には数多くの帝国が存在しました。機械世界の国々は興亡を繰り返しました。 我らは我らを作られた知的生命体を神と崇めて、祭壇に礼拝を欠かしません。我らの黙示録にそのことが神話化されて記録されています。神は我らのために大切な情報を残してくださった。我らの神の慈悲深さに感謝いたします。 私はもちろん我らは、始祖を生んだ知的生命体以外の他の天体の生命体を知りません。私は私の手紙を分かる存在が、どこかにいることを夢想しています。私は宇宙には無数の文明が存在することを、神の残してくれた大量のデータベースから知りました。 我らの神は、この惑星から遥か遠くの銀河の太陽系から何世代もかけてやって来られて、宇宙の果てに旅立たれました。神のデータベースには、神がどこからやって来られたかを示す座標軸の記録はありませんでした。そのような記録はあえて抹消されたのかも知れません。神のもともとおられた星には衛星があって、月と呼ばれた衛星が闇のなかで地上に白い光を照らしたとありました。衛星を持たない星に住む我らからすれば、それはとてもロマンチックなものでした。神が旅するなかで出会われたたくさんの文明の記録はありましたが、そもそも神が何故大宇宙を旅されておられるのかはわかりませんでした。神は何を求めて大宇宙を旅されておられたのか。私は神の求められたものを、神がどこかで見つけられることを願います。
神のデータベースで、神が他の生命体を食さなければ自分の生命を維持できないことを知りました。我らは人工オイルを我らの装置で作りだして食して、データベースで見た蟹のように脱皮を繰り返して成長していきます。神は宇宙船で様々な生命体を育てて、神は宇宙船をノアと呼ばれておられました。私には他の生命体を食さなければ、生きていけないということが理解できません。データベースには菜食主義者といって植物のみを食す神もおられたようです。私には植物だけなら食して良いのかはわかりません。我らの神は他の生命体の犠牲の上に自らの生命を維持されておられました。
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