クッククク~白紙の本に込めよ天船~

藤泉都理

第1話 魔殿の森




 『魔殿のまてんのもり』。

 柳があちらこちらに自生するその森に存在するという、摩訶不思議な鉱物、植物、動物、食物たち。それらを狙うものの中に、魔法使いの少女と少年がいた。

 少女の名は、すずすずな

 少年の名は、あわあわの

 ともに十五才の二人はそれらを収集した白紙の本を本屋に売って、日々を暮らしていた。

 その日もいつものように。

 見たことがない食物を見つけて、収集。

 本屋を見つけて売ろうと歩き出した時だった。


 聞き慣れない笑い声がしたかと思えば、見慣れない格好をした少年と、見慣れた格好をした少年が突如として、二人の前に現れたのであった。




「いやなんで食堂のおばちゃんスタイル!?」

「クッククク」




 ぎゃーぎゃー騒ぐ少年二人を前に、すず凪とあわ埜は速攻で白紙の本を構えた。

 あの見慣れない格好をした少年を収集するために。











(2023.5.9)




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