第14話 パーティーの誕生




「あっしも行きます」


 協力するということで意見が一致し、海斗、浩輔、すず凪、あわ埜の四人が自己紹介を終えて、浩輔がすず凪から受け取った回復湿布を首の後ろに貼って体力回復したところで、さあ収集する珍しい生物無生物を探しに行こうとした時だった。

 自力でこちらの世界に舞い戻って来たのだろう。

 本屋が両手を上げて言ったのだ。

 一緒に行く、と。

 海斗と浩輔と交互に、顔をとてもとても近づけて。


「あっしも行きますんで、時々あんた方の力で癒してください」

「クッククク。俺は白い本限定で、こいつは収集される対象全般だ。おまえはお呼びじゃねえ」

「いいえ。あんたが癒した白い本を持った時、確かにあっしも癒されましたし、そっちのあんたが光る剣を持っている時、確かにあっしも癒されました。感動しました。だから一緒に行きます」

「いいんじゃない。一緒に行ってくれたら探す手間が省けるし」

「そうそう。早くお金もらえるし」


 すず凪とあわ埜の援護を受けた本屋は、お願いしますと両の手をこすり合わせた。

 海斗と浩輔は顔を見合わせた。


「まあ、すず凪とあわ埜がそう言うなら」

「クッククク。いいんじゃねえのか」

「わあい!」

「わあいって。本屋。いつもとキャラクターが違う」


 あわ埜に言われた本屋は、へいと力強く頷いた。


「癒しは人を変えるんです!」

「怒りは人を変えるじゃないんだ」

「クッククク。癒しの力を持つ二人と、魔法使い二人、本屋。五人のパーティーの誕生だな」

「よし。じゃあ行くわよ!」

「おっかねかせぎ。おっかねかせぎ」











(2023.5.31)


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