第13話 二人の力




「ずっと閉じ込められたままだったら協力するのも、俺たちも白い本に収集するのも嫌だと思ったけど、まあ。最長一週間で休眠状態だったら。いいんじゃないか?」

「クッククク。寿命が一週間の生物だったら最悪だな」

「うっ。それは。確かに。う~んんん」


 浩輔は地面に座り込んだまま腕を組んで首をひねった。

 しゃがみこんでいた海斗は、まあいいんじゃないかと言った。


「あいつらに協力しても。この先、話が通じる現地人に会えるとは限らねえし」

「確かに。でも。んー。あ。海斗は漬物の手の力で白い本を癒すって言ってたよな?」

「クッククク。ああ」

「ってことは。だ。白い本の状態が良ければ、閉じ込められる時間も短くできるんじゃないか?」

「クッククク。そうだな」

「ってことは。だ。寿命が一週間の生物がいたとしても、一週間まるごと閉じ込められずにすむってこと、だよ、な?」

「クッククク。そうだな。けど、俺の力だけじゃ足りねえ。おまえの力も必要だろうが」

「俺の力?」

「ああ。俺は白い本だけ癒せるが、おまえは恐らく収集される生物無生物ぜんぶを癒せるはずだ。考えてみろ。休眠状態になると言ったが、本当に嫌だった場合その白い本の力に抵抗するはずだ。その場合、記録に時間がかかる。つまり、閉じ込められる時間が長くなる。白い本だけが癒されてもだめだ。白い本と収集される対象が共に癒されていなければな」

「なるほど。おお!俺たち二人いてよかったな!」

「クッククク。ああ。おまえがいてよかったよ」

「よせやい。照れるじゃねえか」

「クッククク。じゃあ。いいな。あいつらに協力しつつ、俺たちも自分の白い本に収集するやつを探す。ってことでよ」

「おう」

「クッククク。休んどけ。やっぱ、力を使うと疲弊するんだろうよ」

「おまえだって、白い本から出るために力を使ったんだろう?」

「クッククク。鍛え方が違うだけの話だ」

「言ってろ」

「クッククク」

「くっくくく。あ。うつっちまった」

「クッククク」











(2023.5.31)



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