第10話 光る剣




(え?何?白い本を癒す漬物の手の力って?え?薬草とかそーゆー関係?漬物ヒーリング?回復魔法?でも、白い本限定?)


 浩輔の戸惑いをよそに、海斗はおまえも力を開眼させるんだよと、浩輔に詰め寄った。


「いや。多分おまえだけだと思うけど」

「信じろ」

「いや、信じろって言われても」

「開眼させたい力を思い浮かべろ。強い憧れを思い浮かべろ」

「憧れ」

「あるだろう。幼い頃からこうなりたいって憧れが」

「幼い頃」


 浩輔の頭を過ったのは祖父母の家の畳の部屋で、家族や親戚と見ていた海外映画であるスター〇ォーズの映像だった。

 俺もいつかジェ〇イになって、戦闘用エネルギー武器である光る剣のライト〇ーバーで悪と戦うんだ。と言って、よく丸めた新聞紙で、ブゥーンブゥーンと口で言いながら、家族や親戚と遊んでいた。

 憧れていた。

 いや、今も。


「え?」


 胸が熱くなったかと思えば、浩輔は自分の手が掴んでいるのに気づいた。

 あのライ〇セーバーと同じ形で光る剣を。


「え?」


 もう一つ、浩輔は気づいた。

 その光る剣からは、いぐさの匂いがすることに。











(2023.5.30)



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