この文章は俗に言うチートも、ハーレムも、恋愛も、策謀もない。しかし、この日記を読み終わった時、心に、暖かい緩やかな何かがスッと染み込んでくるのが解ると思う(少なくとも私はそうであった)。 ベルギー/フランス人の作者さんが綴る日本や故郷での思い出は、私達の気づかない日々の美しさを思い出させてくれる。この日記を読んでらっしゃらない方は、是非とも心に余裕がある状態で暖かい飲み物を横に置いて、最大限に日常賛美を最大限に噛み締められる状態で読んで頂きたい。
フランス人の書く日本語の文章に日本語の美しさを再認識させられるのは、1人の物書きとしては敗北に近いかもしれない。表現の機微の違いは確かにいくつか見受けられる。だが文法に注意されたのだろう慎重に組み立てられた、主語、述語の繋がり。その美しい文章で綴られる作者の過去の感情や、思考。奇をてらった表現や、気の利いた文章をつい書こうとしてしまう自分にはなんともシンプルな美しさがあって、何度もハッとさせられた。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(84文字)
日本語での執筆に挑戦しているが、彼の持ち前の文体の美しさが表れており、読み心地が良い。ベルギー/フランス人の視点から描かれる日本の良さを、私たちも再発見できる。異文化での暮らしに真摯に向き合う作者を応援すると共に、今後のエピソードに期待。
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