第5話 文字化けのEメール
まだ携帯電話が二つ折りだった頃の話。
当時中学生だった私は携帯電話を使った友人とのEメールに没頭していた。
その日もカタカタと高速でボタンをたたいて友人との会話を楽しでいた。
そんな時だった。送信してすぐに、手紙のマークが点滅する。
あれ?別の友達からだろうか?
あまりの返信の速さに首を傾げながら受信したメールを確認する。
するとそれは差出人不明のメールだった。
From:wpdjagupmdp@yjpo.jp
Title:無題
To:■■■■■@ezweb.ne.jp
いったい誰だろう?
私は恐る恐るメールを開いた。
そこには意味不明の文字の羅列が記されていた。
文字化けだった。
なんとなく気味が悪くなってすぐにメールを削除すると、友人からのメールが届いた。
私はすぐさま今あった出来事を文字に起こして友人に送信した。
するとまたメールを送信した瞬間に受信中を知らせるマークが点滅する。
嫌な予感がした。
予想通り差出人は先程と同じだった。
中身も文字化けの羅列。
言いしれぬ恐怖に固まっていると携帯が震えた。友人からだった。
内容を見て私はまた固まってしまった。
返事をしてみろ(笑)
そう書かれていた。
続けざまに友人からメールが来た。
ビビってるのか?
返事をしなかったら明日からビビり決定な。
私は独り部屋の中でムッと画面を睨んだ。結果まんまと友人に煽られて私は文字化けメールに返事を送った。
文字化けして何言ってるかわかんねえよ!!
友人への怒りも上乗せして、私は相手も分からぬメールに随分と横柄な態度のメールを送り付けた。
するとすぐに返事が返ってきた。
文字化けの羅列の中にURLが混じっていた。
それを友人に転送すると、案の定開けてみろと返ってきた。
気分が高揚していた私はやってやるよ!と息巻いてURLをクリックした。
真っ黒な背景に荒い画像が映し出された。
画像の上部から徐々に解像度が鮮明になっていく。
さてはグロ画像かホラー画像だな?
当たりがついて安堵した私は何が出てきても驚かないぞと画面をじっと見つめていた。
画面がはっきりと表示されて私は戦慄した。
そこに映し出されたのは、見紛うことなく私の家の玄関だった。
しかもそれは私がこの家に引っ越してくる以前のやや古びた玄関だった。
悪戯ではない…
直感的にそう思った次の瞬間にまた携帯が震えた。
私は驚いて携帯を放り投げた。
床で震える携帯の画面には非通知の文字。携帯はしばらく震えてから静かになった。画面には一件のメッセージがありますの文字が光っている。
恐る恐るメッセージを再生した。
開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて開けて
私は母に頼み込んですぐに解約手続きを行なった。
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