いつの世も、大切な人を想う気持ちは変わらない。

 ちょっと気障な伊達男、樹神先生と、自称陰キャ(でも彼女アリ)の服部助手が活躍するシリーズ物。前作を未読でもしっかり面白いので、ご安心を。


 異能で怪異事件を解決する、樹神探偵社。今回の依頼人は優秀な助手である服部くんの知り合いで、ペットのわんちゃんの死をきっかけに悪夢と体調不良に悩まされる女性。
 霊障の原因を探る彼らは、意外な真実に辿り着く。そこにあったのは怨みや怒りの念ではなく……

 古来より人は、己の力ではどうにもならない厄災を神の怒りと捉え、祈りを捧げることで救いを求めてきました。時には残酷な儀式も用い、やりきれない思いを抱えながらも神の力に縋るしかなかった。
 現代に生きる者としては、単なる迷信と馬鹿馬鹿しく感じられるかもしれません。でも、作中のセリフにあるように「昔の人たちがそうやって生きてた延長線上に、今の私たちの暮らしがある」ことを忘れてはならない。そう思いました。
 過去に囚われず、でも忘れることなく。今を大切に、未来へ向かって。

 服部くんの言葉を借りるなら、

 僕たちは、生きている。
 進もう、前へ。

 『軽くした足取り』で、未来へ進もうじゃないか! と、顔をあげて胸を張りたくなるお話です。ぜひ、読んでみてください。

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