第9話 泥団子
迷子を助けてから俺は芹田とかなちゃんと接してから。
世界が変わっていっている気がする。
俺は思いながらかなちゃんを見る。
それから芹田を見た。
芹田はかなちゃんを見ながら笑顔になる。
「芹田」
「うん?何?小野寺くん」
「お前さんは保母さんになるのか?将来は」
「?.....何で?」
「そういうのお似合いだと思ったからな」
芹田は少しだけ考える。
それからボッと赤面した。
そして目を回し始める。
な、何でそう思うのかな!?、という感じで。
ありのままを伝えただけなのだが。
「お前は子供が好きそうだからな」
「.....あ。でもかな以外は難しいかも。子供は.....ね」
「そうなのか」
「うん。子供に接せれる程の力は無いよ。そんなに優秀じゃない」
「.....」
「愛情を知らないから」
「.....そうか」
俺は複雑な顔をする芹田を見ながら息を吐く。
それから缶コーヒーを飲む。
缶コーヒーは苦い味がしている。
間違えて今の感情でブラックを買ったから、だ。
芹田は、今日は有難うね、と言ってくる。
「.....何がだ?」
「私達に付き合ってくれて」
「.....気まぐれみたいなもんさ」
「そっか。でも小野寺くんが優しいって事が分かったから」
「俺は優しいんじゃないよ。そう見えるだけさ」
思いながら俺は缶コーヒーを煽る。
それから空を見上げてみる。
すると芹田が俺に向いているのに気が付いた。
君はとても優しいよ、と笑顔になりながら。
俺は、?、を浮かべる。
「見ず知らずの女児を送り届けて.....しかも遊んでくれている。そんな君は好きだな」
「.....!?」
「.....あ。好き.....っていうのはそういう好きじゃ無いから!!!!?」
「そ、そうか。ビックリさせんな」
そう言いながら俺達は赤くなる。
するとかなちゃんがニコニコしながら戻ってくる。
その手には泥団子が握られていた。
芹田は、もー!!!!!かな!せっかくのお洋服が!、と言うが。
まあ正直子供だしな、と言いながら笑みを浮かべる俺。
「どれどれ」
「にーにのぶん!」
「ほほう。俺の分もあるのか」
「ちょ.....小野寺くん。汚いよ」
「まあ確かに砂だし汚いよな。.....でも俺は思うんだけどさ。子供って外で遊ぶからこそ免疫力が上がるんじゃ無いかって思うんだわ」
「また小野寺くんは.....」
そう言いながらブツブツと呟く芹田。
俺はその姿を見てからかなちゃんを見る。
かなちゃんは俺に見事な泥団子を渡してくる。
ほほう。あとは布で磨けば完璧じゃないか。
思いながら俺は顎に手を添える。
「かなちゃん。これは持って帰ろう」
「え?にーに。もってかえってどうするの?」
「おう。俺が磨いて届けてやるよ」
「にーに!ほんとうに!?」
お、小野寺くん.....そんなに迷惑は掛けられない、という芹田は放っておいて。
取り敢えずは磨こう。
思いながら俺は、んじゃこれは入れて、と。
じゃあ次は何をする?、とかなちゃんに聞く。
するとかなちゃんは、んと!じゃあありさんをみたい!、と笑顔になる。
「.....じゃあアリさんを見るか。という事で行って来る。芹田」
「.....もう。.....分かった。じゃあ私は此処に居るから」
んじゃ行こうか、かなちゃん、とかなちゃんに引っ張られながらそのまま駆け出して行ってから。
公園のアリさんを見る。
正直アリさんってこんな感じだったか?
思いながら俺達は暫く観察していてから。
時間が経った。
☆
「今日は有難う。小野寺くん」
「.....俺は何もしてないよ。全部かなちゃんの提案だから」
「本当に持って帰るの?泥団子」
「そうだな。綺麗にしてお前らに渡す」
「.....そっか。なら期待してる」
芹田はニコッとする。
それから俺と芹田達は別れる。
そして俺はビニールに入った泥団子を見る。
よしどういう布で磨こうか。
思いながら俺はスマホで調べたりする。
「普通に磨いても仕方がないな。独自でみが.....」
そこまで言ってから俺はハッとする。
俺も相当に楽しんでやがるな、と。
そうか.....姉ちゃんの言う通りだな、と思う。
あまり心配しなくても良いんだ、と。
「.....楽しんでいるんだな。俺も」
そんな事を呟きながら苦笑し泥団子を持ってから帰宅する。
それから裏に回ってから磨く。
かなり綺麗にはなった。
よしこれを明日かなちゃんに渡そう。
思いながら俺は笑みを浮かべた。
☆
日曜日になった。
俺は泥団子を持ってから芹田家に訪れる。
それからインターフォンを押すと。
芹田が、はい、と返事をする。
その言葉に、よお、と言葉を発する。
『え!?小野寺くん!?』
「ああ。.....昨日の件でな。泥団子持ってきた」
『あ。そうなんだね。.....じゃあ玄関に行くから待ってて』
それからインターフォンは切れて玄関が開く。
そこにはかなちゃんと芹田が立っている。
俺を見ながら、こんにちは、と言ってくる。
その姿に笑みを浮かべながら翳した。
「これな。泥団子な」
「わー!きれー!」
「し、真剣に磨いたんだね.....」
「そうだな。まあ楽しかったから良いんじゃないか」
「そっか。変わらずだね」
そして目を輝かせるかなちゃんを見てから芹田を見て。
そのまま、まあこれだけだから。じゃあな、と帰ろうとした。
のだが芹田が、え?もう帰るの?、と聞いてくる。
俺は、え?、と芹田を見る。
「せっかくだから家に上がらない?」
「.....え?」
「それいい!おねえちゃんないす!」
「.....!?」
仮にも女子の家に?
冗談でしょう、と思ったのだが。
目を潤ませるかなちゃんに何も言えず。
更には、家に入ろう?、と言う感じに負けてしまい。
そのまま芹田の家にお邪魔した。
ん?そういえば親が.....居ない.....よな?
良いのかこれ?
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