第14話 ゆかな、お弁当を作る

かなちゃんを幼稚園に送った。

それから俺達はいつもの様に高校に登校する.....と。

鳥宮の渋い声が聞こえた。

背後を見るとゾンビの顔をしている、貴様.....、という感じの鳥宮が。

俺と芹田は驚く。


「.....芹田とは何もない?嘘ばかり吐くんじゃないぞ小僧.....」

「小僧になってんぞ。落ち着け。本当に何もないからな」

「だが一緒に登校している.....というか!!!!!それ以前に貴様.....子供が産まれたのか!?」

「.....何を言ってんのお前?」


幼い子供を連れて.....夫婦になったのか!?、と言う鳥宮。

待てこの野郎.....ん?

あー.....かなちゃんの事か。

あれこそ芹田の妹だな.....、と鳥宮に説明する。

すると、そうなのか!芹田ちゃん、と鳥宮は芹田に確認する。


「う、うん。そうだよ?」

「.....じゃあそれ以上の関係ではないと言えるか。貴様」

「俺は貴様扱いか。.....ないっての」

「ふむ。今だけは引いておこう。だが.....それなりの事があったら俺は童貞として貴様を許さんぞ。行くぞ貴様」

「貴様になってんぞ呼び名が.....」


全くどいつもこいつも。

思いながら俺は芹田を見る。

いい迷惑だよな、という感じで。


だがその芹田は何故か真っ赤になっていた。

俺は、?!、と思いながら芹田に聞く。

せ、芹田?、という感じで。

すると芹田は口をモゴモゴする感じで聞いてきた。


「ね、ねえ。小野寺くん」

「な、なんだ?」

「私達ってそんな関係に見えるかな」

「.....そんな関係とは?」

「えっと.....ふ、夫婦.....」


芹田は口を歪ませながら赤くなって汗をかく。

へ!?、と思いながら俺は芹田を見る。

貴様よ。どうした、と呼びかける声と共に鳥宮がやって来る。

俺は、何でもない。貴様言うな、と言いながら鳥宮を見る。


「芹田。行こう。もう遅刻する」

「.....そ、そうだね」


芹田は頬を少しだけ両手で叩く。

そして俺達はそのまま教室に登校する。

それから俺は席に腰掛ける。

そうしていると、小野寺、と声がした。

顔を上げると鳥宮が居る。


「どうした?鳥宮」

「考えた」

「.....は?」

「芹田は.....お前が好きだ」

「.....何をぶっ飛んでいる事を言ってんだお前はいきなり」

「間違いないだろ!」


鳥宮はシリアスな顔でそこまで言ってから、チクショー!、と駆け出して行く。

乙女走りで元の席に戻って行く。

アイツ何なの?

俺は顔を引き攣らせながらその光景を見ていた。


「しかし.....芹田が俺を好き、か」


俺はそんな事を呟きながら窓から外を見る。

そして考え込んでみるが。

どう考えてもそれはありえないと思う。

何故なら.....こんな俺はどこにそんな要素があるのか分からない。


「はぁ」


盛大に溜息を吐きながら俺は教科書を出す。

そして準備をしていると。

小野寺くん、と声が。

俺は顔を上げると.....そこに芹田が居る。

それから芹田はモジモジと体を揺らした。


「.....えっと。お弁当.....食べる?」

「.....はい?」

「お、お弁当作った。食べて」

「.....俺に!!!!?」


教室が凍りつく。

女子は、きゃー!?、とか大声をあげる。

鳥宮なんか顎が落ちてそして凍結している。

俺はその光景を見ながら芹田を見る。

せ、芹田?、という感じで。


「何でお前また弁当なんか.....」

「そうだね。い、色々なお礼も兼ねて」

「あ、ああ。そういう事なら貰っておくよ」

「そ、そう!?ありがとう」


俺は頬を人差し指で掻きながら受け取る。

そしてみんなを見ると。

男子は金属バットを所持していた。

消化器まで持っている野郎がいるのだが。

嫉妬が強すぎるんじゃね?


「落ち着け。皆の衆」


何故か先陣きって顎に手を添えている鳥宮が目の前に出る。

そしてカッと見開いてから俺を見る。

それからどっから取り出したのか丸めた教科書で指示した。

打首じゃ!、と。

オイコラ!!!!!テメェ!!!!!


「鳥宮ふざけ.....ギャハハハ!!!!!」

「こちょこちょの刑だ!!!!!」

「ふざけんなお前!死ね!.....ギャハハハwww」


ふざけんなお前ら.....!!!!?

そんなその光景に止めていた芹田は笑い始める。

そして鳥宮も笑顔で俺を羽交締めにしていた。


「.....まあでも良かったんじゃねぇの?」

「お前な。やりたい放題やってそれは無いだろ」


するとそれを聞いていたモブ達が、確かに、と深く頷きながら反応した。

それから苦笑する。

金属バットをしまってから。

消化器をしまってから。


「お似合いだと思う」

「それは確かにな」

「俺も思う」

「だから俺は違うってのお前ら.....」


それよか時間がねぇぞ。

と言いながら俺達は解散した。

それから俺達はホームルームを受けた.....のだが。

その後にとんでもない事態が発生した。

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幼い女の子の迷子を助けたらその姉に好かれたんだが.....。 アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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