第8話 よし。遊ぶか

「どうどう?芹田さんとは上手くいっているのかなぁ?」


「だからそういう関係じゃないっての。あくまで知り合いだっての」


「そうかなぁ?アハハ」


カラスミとかある様な日本食な風の夕食を一緒に食べながら俺は目の前の姉ちゃんを見る。

姉ちゃんは缶ビールを4本飲みながら酔っ払っていた。

俺は苦笑いしか浮かばない。

だけど思うんだけどこういう息抜きも大切だよな。

思いながら俺は聞く。


「.....なあ。姉ちゃん」


「.....何かな?幸治くんや」


「俺はどう.....この先、芹田に接したら良いかな?何だか気が付かぬうちに傷付けているんじゃないかって不安になるんだ」


「.....ああ。それはないよ」


「何を持ってして.....?」


「幸治。.....君はね。私のとても自慢の弟だから。.....だから傷付けるってのは無いよ。この世の中で君だけは自信を持って言える。.....私の弟だからそんな事は無いってね」


缶ビールをまた開けながら姉ちゃんは赤い顔で話す。

俺はその姿を見ながら苦笑い。

それから、そうか、と返事をする。

そして姉ちゃんに髪の毛をグシャグシャにされた。

俺は、何すんだ!、と言うが。


「男の子で思春期だもんねぇ。悩む事はいっぱいあるよねぇ」


「そうだな.....まあ、うん」


「.....明日、かなちゃん、ゆかなちゃんに会うんだよね?」


「.....そうだね.....」


「.....自信を持ちな。.....大丈夫だよ。私が言うんだから」


「でも姉ちゃんの言う事は信頼出来る時と出来ない時が.....」


思いっきり首を絞められた。

おっぱいが!胸が当たる!

俺は思いながら抵抗していたが。

まあ楽しいな、と思いながらあまり抵抗しなかった。



正直、芹田とはどう関わっていこう。

そんな事を考える日々が多い。

だけど一つだけ言えるのは。


姉ちゃんに励まされた。

その為に自信が付いた、と言える。

公園に向いながら俺は思う。


「あ。小野寺くん」


「にーに」


「おはよう。芹田。かなちゃん」


するとかなちゃんが抱きしめてきた。

それから可愛らしく俺を見上げてくる。

にーに。なにしてあそぶ?、と言いながら。

俺はそんなかなちゃんを見ながら滑り台をチラッと見た。

滑り台でもするか、と言いながら。


「わーい!」


「お、小野寺くん。良いけど君が砂まみれにならないかな?目の前に砂遊びがあるし」


「安心してくれ。.....俺はかなちゃんと全力で遊びに来た。ランニングシューズとかも履いてきた」


「にーに?そうなの?」


「そうだ。.....だからいっぱい遊ぼうな」


「わーい!!!」


ありがとう!にーに!、と言うかなちゃん。

それから俺達はそのまま滑り台を滑り降りた。

かなちゃんは本当に嬉しそうに俺と遊ぶ。

その姿を見ながら俺は複雑な顔を浮かべる。

すると芹田が肩を叩いた。


「.....大丈夫?」


「.....ああ。すまない。また神妙な顔になっていただけだよ」


「.....そんなに心配しなくても、かなは大丈夫だよ。今は全力で楽しんでいるみたいだしね」


「.....そうか。だとい.....」


そこまで言ってからいきなり俺はかなちゃんに引っ張られる。

それから、つぎはジャングルジムがしたい、と俺に向いてくる。

俺はその言葉に目を丸くしながらも。

次にニヤッとしてからかなちゃんの手を握る。

そうしてから駆け出した。


「じゃあかなちゃん。かけっこして誰が一番早くジャングルジムに着くかやろうか」


「.....!.....まけないよ?かな、はあしがはやいよ?」


「.....そっか。足が速いんだな?」


「そう。だからしょうぶにならないの!」


「にーにも足は速いぞ。はっはっは」


「そうなの!?」


「そうだ。だからどっちが早いか走ろうか!」


かなちゃんは、うん!、と返事をする。

当然俺は全力は出さない。

何故ならかなちゃんに勝ってもらいたいので。

思いながら俺達は走ってみる。

するとかなちゃんが勝った。


「かなちゃん速いねぇ。確かに。にーに負けちゃった」


「.....」


「.....どうした.....?かなちゃん?」


「.....にーに。それはぜんりょくじゃないよね?」


「.....え!?ど、どうして?全力で走ったぞ?」


するとジト目のかなちゃんに変わってからクスクスと笑う芹田が言った。

かな、は全力じゃないのとか見抜くのが得意だよ。そういうの、と。

俺は目を丸くしながら、そ、そうなのか、とかなちゃんを見る。

かなちゃんは、まじめにして?、とジト目。

俺は苦笑いをしてかなちゃんを見る。


「.....かなちゃん。全力が良いの?」


「そう。かなはぜんりょくじゃないといや」


「.....そ、そうか。じゃあ今度は.....さっき走ったベンチまで走ろうか」


「うん!にーに!」


正直.....かけっこで速かった俺がそんな全力を出したら、と思ったのだが。

走った後、負けたかなちゃんは勝った時よりも数倍嬉しそうだった。

普通は逆だと思うが.....、と思いながら見る。

芹田も微笑みを浮かべていた。



「お昼だね」


「.....そうだな.....昼飯か。どうしようか。俺作ってきたんだけど」


「え?奇遇だね。.....私も作ってきたよ?」


「あー.....被ったか。すまない」


「.....良いんじゃないかな。宴会みたい」


かなちゃんは俺達の持ってきた食事を見てから、わー!おいしそう!、と笑顔を浮かべる。

因みに芹田はサンドイッチ。

俺はおにぎり。

そんな感じだが.....量が多いかな?


「大丈夫かな。量多くないか」


「あ。大丈夫だよ。かな、が結構食べるの」


「え?そうなのか?かなちゃん」


「そう!かな、はね!からあげすきもさんどいっちもすき!にーに、おねえちゃんありがとう!」


そんな感じで俺達に感謝しながらからあげとサンドイッチを食べるかなちゃん。

俺達は顔を見合わせてからそのままクスクスと笑って食べ始める。

すると通り掛かったご老人のご婦人に、あらあら。仲の良いご家族かしら、と笑顔で言われた。

ご老人の旦那さんの方は、そのようじゃの、と言いながら通り過ぎて行く。


「そう見えるのか?俺.....たち?」


芹田の顔を見る。

顔が真っ赤になっていた。

これまで見た事のないぐらいにモジモジして真っ赤だ。

俺は!?と思いながら芹田を見る。

そして目を丸くした。


「.....芹田?」


「おねえちゃん?」


「あ。な、何もないよ!あは、あはは.....」


「.....?」


俺は芹田を見ながら???を浮かべていた。

そしてそのまま時は過ぎていく。

それから俺達は談笑した。

芹田の真っ赤だった謎は解けないままだったが。

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