第2話 何でお主が!裏切ったな!?
俺に芹田が話し掛けて来てから4時限目になった。
昼休みの事だが。
ジッと.....まるで俺の顔に虫でもくっ付いているのを観察するかの様に何故か焼きそばパンを持った鳥宮に2分ぐらい睨まれている。
何故なんだ、と思いながら鳥宮を見る。
そして聞いてみる。
何だ、と。
すると鳥宮は、何故お前の様な奴がモテるのか、と論を述べ始めた。
何言ってんだコイツは。
一体何がモテたのか俺は?
「鳥宮。何か誤解している。.....俺は芹田に好かれた訳じゃない」
「いや。嘘吐け。お前には秘密がある筈だ。解読しなければ」
「.....訳が分からん.....」
そんな事を話しながら俺は弁当をつつく。
何というか芹田一家にやった事は仮にも偶然だ。
つまり俺が迷子を見つけたからこうなっただけで、と思う。
それ以上に深い意味も浅い意味もない。
ただそれだけだ。
「芹田も話し掛けてこないだろ?そういうこった」
「.....うーぬ.....」
「何を悩んでいるか知らないけど.....」
「でもな。お前さん。.....芹田という人間の家族を送り届けたというのは賞賛に値するぞ。俺なら出来ん」
「.....偶然だよ。マジに」
そんな会話をしていると。
何の話?、と声がした。
俺達は、まあ色々.....、とそこまで言ってから。
ビックリ仰天。
何故ならまた芹田が話し掛けてきた。
俺に楽しそうに、だ。
「芹田?ど、どうした?」
「いや。楽しそうな話かなって」
「楽しくないぞ?男同士の話だぞ」
「.....そう?混ぜて混ぜて」
「な!?お、おい!助けてくれ!鳥宮」
しかし鳥宮は固まって役に立たない。
俺は顔を引き攣らせながらあまりの神々しさに眩しさを感じながらも。
分かった、と返事をする。
すると芹田は、一緒にご飯も食べよう、と椅子を持ってくる。
な、ちょ、は!?
「芹田.....どうなっている!?」
「どうなっているって楽しそうだから」
「.....お、おい!鳥宮!助けてくれ!」
「助けるだ?殺すぞハゲ」
「お前.....」
肝心な時に役に立たねぇ!
お前はC3○O的、R2D○な役に立つ機械の存在じゃ無かったのか!
スターウ○ーズの!
と言っていると芹田が、アハハ!、と笑った。
俺達は!?と思って芹田を見る。
「アハハ。面白いね」
「.....な、何が?」
「仲が良いんだね」
「.....そ、そう見えるか?」
「.....うん。羨ましいぐらいだよ」
するといきなり再起動した様に誇った顔をする鳥宮。
それから、コイツとは腐れ縁で、と説明した。
この野郎。
肝心な時に動かなかった癖に。
「そうなんだ。どれぐらい前からなの?」
「.....お、俺達は小学校時代からであります!」
「緊張しすぎだろ.....」
「それはお前もだろ.....」
漫才か?、と思いながら俺達は睨み合う。
すると、そっか。小学校時代からなんだ、とクスクスと笑顔を浮かべた。
まるで本当に宝石の様な笑みだ。
俺達は、マジ女神、と思ってしまった。
話を切り替えないと心臓が。
「と、ところで本当に交わりたいだけ?俺達のグループに」
「あ、うん。.....でも.....実は小野寺くんに用事があった」
「.....え?何の用事だ?」
「放課後に付き合ってくれない?行きたい場所がある。お礼がしたい」
「.....」
クラス中が、はぁン?、と一気に声を発した。
それから俺に視線が集まる。
俺が悪いのか?これ。
思いながら芹田を見る。
そんなお礼とか要らないって、と言いながら。
だがクラスが今度はブーイングした。
「あいつマジかよ」
「芹田さんの頼みを断るとは」
「死ねよオタク。カスが」
俺に対してボロクソだった。
その言葉に汗をかきながらも。
俺は芹田に、分かった。行くよ、と答える。
すると鳥宮が口元に手を添えて号泣した。
お幸せに!、と言いながら。
何を誤解しているんだコイツは.....。
「ふぇ.....お、お幸せ.....って」
「真に受けなくて良いよ。芹田」
「.....そ、そうだね。アハハ.....」
何でこんなに恥ずかしそうなんだ。
俺だって恥ずかしくなってしまうじゃないか。
好きでもないのに。
思いながら芹田を見る。
すると鳥宮が、でも良かったじゃないか、と言う。
「相手はあの芹田だ。.....大きい感じだ」
「.....いやいや。.....そんな事はないよ。鳥宮くん。.....美少女って色々大変だよ?」
何か深刻そうな顔をする芹田。
俺は?を浮かべて芹田を見ていると。
あ。早く食べないとね、と芹田が言い始める。
それから弁当箱を開ける芹田。
可愛い物品ばかりのお弁当だった。
「.....美味そうだな.....」
「そうだな.....」
「あ。食べたい?お2人さん」
「え!!!!?良いのか!?」
鳥宮。
お前キモイ。
俺は考えながらジト目で鳥宮を見る。
弁当箱の蓋に分けてくれた。
俺達はその分けられた唐揚げを食べる。
「.....めっちゃ美味い.....」
「ガチだな」
「.....え?本当に?良かった」
2時間掛かって作った甲斐があった、と喜んで笑顔になる芹田。
俺は、そんなに掛かるものなんだな.....、と思いつつ芹田を見る。
そして俺達は楽しく会話をして楽しんだ。
すると.....トイレに向かった俺を芹田が追って来た。
「.....どうした?芹田」
「.....昨日は本当に有難う。小野寺くんって優しいね」
「.....気まぐれだよ。.....良かった。かなちゃんが犯罪とかに巻き込まれないで」
「うん。.....ねえ。小野寺くん」
「.....何?」
放課後。
楽しもうね、と言ってくる芹田。
俺はボッと赤面しながら、また後でね、と去って行く芹田を見る。
何というか.....。
まさかこうして芹田と関われるとは。
神様有難う本当に、という感じだった。
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