第6話 見えないこの時と虹色
案の定かと思ったが。
鳥宮は至って平然としていた。
それが逆に不気味なのだが。
思いながら休み時間に鳥宮を見ていると。
いきなりブワッと涙を流した。
「は!?」
「.....お前さ。.....芹田と付き合い始めたんだよな?きっと」
「.....いや。いきなり何言ってんだ?」
「だってお前。芹田と放課後にお茶会してたんだろう?.....そしてラブホにゴーってそれはもう確定じゃないか」
「あのな.....俺を何だと思ってんだお前は。ラブホにゴーしてねぇよ」
貴様.....この後に及んで言い訳するとは、と鳥宮は俺を見て猫の様に、シャー!、と反応する。
何言ってんだこの馬鹿野郎は.....。
思いながら芹田を見てから、鳥宮。全て誤解だ、と回答する。
そして、俺は芹田とは付き合ってない、とも。
「.....そもそもあんな美少女が俺と付き合う?そんな訳あるか?ちょっと考えれば分かるだろ?」
「まあ確かにな」
「.....だからそれはお前の思い込みだ。俺は芹田は知り合いとしか思ってない」
「成程な。.....じゃあこれからも童貞同士だな!」
「そう区分されるのが心底ムカつくが.....まあそういうこったな」
それから俺達は握手を交わす。
そして芹田を見ると。
芹田がいつの間にか俺の元に来ていた。
あい?、と思いながら芹田を見る。
すると芹田は、次の時間だけど.....プリント運ばなくちゃいけなくて。.....もし良かったら君にも頼めるかな?、と聞いてくる。
「.....そ、それは.....日直に頼んだらどうなのか」
「.....せっかくだしね。.....君に頼みたい」
「.....」
鳥宮が目配せしてワナワナと震えている。
それから立ち上がった。
そして、お幸せにぃ!!!!!、とどっかに行ってしまった。
あの馬鹿野郎.....。
思いながら驚いている芹田を見る。
「あー。その。なんだ。.....アイツは気にしなくて良いから」
「鳥宮くん.....大丈夫なの?」
あの馬鹿は色々と誤解しているだけだ。
と説明しながら俺は苦笑い。
それから、分かった。じゃあ運ぶよ、と芹田を見る。
すると芹田は少しだけ紅潮しながら、うん、と笑みを浮かべた。
「.....有難う」
「.....気にするな。.....俺にまあ出来る事はこれぐらいしか無いしな」
「.....そんな事無いけどな」
「.....お前が思っている以上に俺は根性無しさ」
それから俺は自嘲する感じで、じゃあ行こうか、と職員室に行くのに立ち上がる。
芹田も、うん、と納得した様に立ち上がった。
そして俺達は職員室に移動を開始する。
するとその途中で芹田が赤くなった。
そうしてから俺を見てくる。
「どうした?芹田.....」
「私達ってその。こ、恋人に見える?」
「まぁ!?.....い、いきなり何を言ってんだ!?」
「い、いや。その.....何だか色々な人に、お似合いね、的な感じで見られるから.....」
「少なくとも俺はお前の.....その。恋人とか迷惑だろ?」
「え?.....あ、えっと.....えっと.....!」
真っ赤になって目を回す芹田。
何だこの満更でもない様な顔は。
幾ら何でも誤解してしまう。
思いながら俺は慌てた感じで、ま、まあとにかく。それは気のせいだ、と話す。
すると芹田は、だ、だよね、とシャキーンとした。
「.....と、とにかく!今はプリントを運ぼう!な!?」
「そ、そうだね.....あ、アハハ」
それでも芹田は赤くなっていた。
俺も恥ずかしい。
それから俺達は職員室にやって来る。
そして教員からプリントの束を受け取ってから。
そのまま俺達は戻ろうとした時。
「.....かな、がね。私と君の事すごく喜んでいたの」
「.....何を?」
「パパとママみたい、って」
「.....それは.....また。.....凄い話だな。ハハハ」
そんな感じで明るく接したが。
芹田は足を止める。
そして俺に苦笑いを浮かべた。
それから話してくる。
「.....実は私達の家は凄く複雑でね。お父さん.....私達に絶対に会わないんだ。そしてお母さんは.....亡くなってて」
「.....何.....」
「.....だから、かな、は本当に私の事を、君の事を喜ばしく思ってた。.....私はお姉ちゃんだから泣かないって言ってね」
「.....」
芹田のその言葉に。
衝撃を受けた。
金槌で後頭部を殴られた衝撃だ。
俺は複雑な顔で芹田を見る。
芹田は、お父さんは全部私に投げちゃった。全部を、と言いながら苦笑い。
「.....何かその。.....お母さんが死んだ理由を知りたいって言って帰って来ないんだ」
「.....そうだったのか。すまない。笑ってしまって」
「.....気にする事はないよ。.....私は、かな、の精神状態を案じている。.....私は.....姉としてね」
「.....そうか」
「うん。幼稚園児だしね」
言いながら俺達はそのまま教室まで戻って来る。
私はまあその。今の生活が最も好きなの、と黄昏れる様に教室を見る。
俺はその姿をジッと見る。
そして芹田は俺に向いてから、君はどんな色が好き?、と聞いてきた。
そんな言葉に?を浮かべる俺。
「.....色って何だ?」
「私は虹色が好き。.....みんなが常に一緒な気がするからね」
「.....」
成程な。
思いながら俺は芹田を見た。
そして芹田が置いた後にプリントを置く。
それから、有難う、と手を小さく振って芹田が言ってくる。
俺は、気にする事はない、と芹田に挨拶してから。
そのまま別れ、鳥宮の所に戻った。
複雑故が人間か。
俺は考えながら窓から外を見る。
それから俺も少しだけ黄昏れてみた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます