第12話 姉として
芹田一家は本当に複雑だと思う。
だけど姉と妹が互いに協力して乗り越えている。
その事に俺は、協力してやりたい、と心から思ったりした。
だからこそ、と思いながら俺は自宅に帰って来ると。
姉がぐったりしていた。
「またか姉ちゃん」
「もう飲めにゃい.....」
「記録としては33回目だ。相変わらずすぎるんだが。一体何をしているんだ」
「良いじゃない!ヤケ酒!良い男が居なかったんだから!」
それなりに叫んでから姉ちゃんはまたぐったりする。
あのな、と思いながらも俺は芹田一家を思い出してから水を持ってくる。
毛布も持ってくる。
そして姉ちゃんに差し出した。
姉ちゃんは、うん?どうしたの?、的な感じで驚く。
俺が優しい事に驚いている様だ。
「まあどうあれ姉ちゃんは家族だしな」
「???.....うん。家族ではあるね」
「ちょっと色々と考える部分があってな」
「.....そう。それで?」
「そうだな。それで優しくなっている部分もあるかもしれない」
「そっか。.....ありがとうね」
毛布を受け取る姉。
これも全てかなちゃんを見ているせいだろうな。
思いながら俺は姉ちゃんを見る。
すると姉ちゃんは、何か聞きたい様な顔をしているね。少年、とニコッとする姉ちゃん.....超能力者か。
「私達は家族なんだから。だからそういうのは見抜けるぞ☆」
「そうだな。じゃあ姉ちゃん」
「何?」
「芹田の事なんだけど」
「ふむふむ。芹田ちゃんね。どしたの?」
「俺は.....芹田を助けたいって思う」
芹田は悩んでいるから、と言いながら姉ちゃんを見る。
( ^ω^ )的な顔をしていた。
俺は顔を引き攣らせながら、あのな、と言う。
すると姉ちゃんは直ぐに謝ってきた。
それから、メンゴ、と手を合わせて言いながら、それも良いんじゃないかな。助けてあげたら良いよ。君がそう望むならね、と話してくる。
「.....ありがとう。姉ちゃん」
「そうだねぇ。君は良い子に育ったね。我が弟よ」
「姉ちゃんの粗暴ぶりのせいかもしれないけどね」
「ひっどいねぇ」
「はは。冗談だ」
そして俺の頭を撫でてくる姉ちゃん。
俺はそれを払い除ける。
子供じゃないんだから、と言いながら。
すると姉ちゃんは、そうだね。子供じゃないね、と柔和な顔をする。
天井を見上げる仕草をした。
「.....それにしても泣いていた少年がここまで成長するなんてね。時間が経つのは早いね」
「.....姉ちゃん.....」
「私は嬉しいよ。好きな人ができて.....こうして幸せになる姿を見れて」
「うん。まあそんな感じになっている訳じゃないが」
「え!?違うの!?」
良い感じになっているところ悪いが。
俺は芹田が好きな訳じゃない。
今はそんな感情は知らないから、だ。
だけど助けたいって思うのだ。
心から同級生として。
「姉ちゃんももし何かあったら協力してほしい」
「それは勿論だね。協力するに決まっているじゃないの」
「ありがとう。姉ちゃん」
「それにしても好きじゃないのに協力。怪しい。それは好きって事では?」
「.....俺なんかが恋をしてもね」
「ふむ。幸せにできないとでも?」
「そうだと思わないか?」
ふむ。そこだけはまだ子供だね、と姉ちゃんは言ってくる。
俺は、?、を浮かべながら姉ちゃんを見る。
姉ちゃんは苦笑いを浮かべながら、弟よ。君は十分な大人だよ。だからもっと自分の気持ちに素直になりなさい、と話してくる。
俺は、!、と思いながら姉ちゃんを見る。
「.....君が思っている以上に君は大人だ。.....私が保証するよ。良い人に育った。.....もう私から羽ば.....」
「いや。それは羽ばたいていると思う。親元を離れても良いと思う」
「あのね!もー!!!!!良い話をしているのに!そんな片っ端からへし折ったら意味ないでしょ!」
折っている訳ではないし。
と言いながら俺は姉ちゃんのヒップアタックを受けながら苦笑い。
っていうか女子がヒップアタックすな。
思いながら俺は、姉ちゃん。尻アタックしたらダメだって、と忠告する。
そんなだからモテないんだよ、とも。
「おー。言うね。我が弟よ。まあ確かにその通りだけど。でも最近なんだかモテなくても良いよな感じになってきたんだけどね」
「.....それはどういう意味?」
「まだ早いかなって思ってね。.....弟の幸せを願ってからでもまあ良いかなって思ったんだ」
「.....しかし.....」
「私は貴方の幸せを祈りたい」
それから姉ちゃんは笑顔になる。
そして青ざめて、うっぷ。上がってきた、と言う。
台無しなんだが。
思いつつ俺は笑う。
姉ちゃんは、笑うなぁ.....。、と青ざめながらヨタヨタとトイレに行った。
「.....姉ちゃん。ありがとう」
その背中にそんな事を呟きながら俺はスマホから芹田の住所を取り出す。
それから、芹田、とメッセージを飛ばして声をかける。
そして芹田が、お。何?小野寺くん、と言ってきたので。
俺は告げた。
同級生として貴方を助けたい、と。
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