第231話 ~怖いこと言わないで!~
~怖いこと言わないで!~
ベルタは森に入ったとき、むかしの兄の声を聞いたと言った、
ベルタが聞いたのは、少しこもっていたが、なつかしい子供の頃の兄の声だった、ようだ。
しかし、その内容は・・・
「もう・・お・わ・り・だ・・おまえ・・た・ち・・殺す!」>ベルタが聞いた兄の声
「?!」
「なッ、なんで妹を殺すなんてッ!?」
アルがビックリと恐怖の入り混じった顔で叫んだ、それに対し、エレーナが静かに・・
「おそらく、球の影響でしょう、この近くにカオルの球が落ちたのが目撃されてます、球の力とこの森に元々あった魔力が交じり合った結果、ベルタのお兄さんの残意が増幅されてこのようになったのだと思います」
「薫の影響?」
「いえ、カオルには悪意はないはずです、ただ力だけを使われてるのでしょう」
「使われてる? 誰に?」
薫が僕たちを襲うはずない、それはベルタのお兄さんも同じはず、だとすると、薫の球とベルタのお兄さん以外にまだ他に意思、いや敵意を持った別の何者かがいるってことになる・・・
「カオルとベルタのお兄さん以外に何がいるって言うのよッ?!」
「うわうわうわっ! アルそういうのキライなんだけど・・」
「エレーナ、怖いこと言わないでよッ!」
タミーとアルはエレーナのハッキリしない微妙に怖い言い方に半ギレ状態。
しかし、エレーナとしてもそれ以上ハッキリと言い切れなるほどの情報を持っているわけじゃないので、文句を言われてもどうしようもないはず、でもエレーナはこんなときでもふたりに謝っている。
「ごめんなさい、今のわたしではこんな言い方しか出来ません」
「そうだよ、エレーナだって怖がらせようとしてるわけじゃないし、判らないことばかりなんだから仕方ないんだよ」
責任なんて無いのに謝ってる、そんなエレーナが可哀そうにな僕はエレーナをかばうようにちょっとだけ強く言う感じになった。
「まぁ、別に怒ってるわけじゃないわ、言い方がなんとなく怖かっただけよ」
「そうだよ、エレーナの言い方で背中がゾゾゾッってしちゃったもん!」
「背中がゾゾゾ?・・アハハハ!」
アルはホントに怖かったようで、マジに怖そうな顔でゾゾゾなんて言ったもんだから僕は思わず笑ってしまった。
「え~、ユウトなんで笑うの~? ホントに怖って思ったんだよ~」
「あぁ、アルごめんよ、ゾゾゾって言ったアルがメッチャ可愛かったからさ、つい・・」
(こいういときは可愛かったとか言って誤魔化すのが吉だということは経験から会得している・・)
しかし、その手は完全には通じなかった・・
「あぁ~、ユウト可愛いいとか言って、適当に誤魔化してる・・」
「え? いや、誤魔化してなんてないよ、実際可愛かったからさ」
(やばっ!タミーのやつ、この手を見切ってる??)
「まぁ、いいわ、エレーナに非があるわけじゃないし、わたしもちょっと言い過ぎたわ、エレーナごめんなさいね」
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