第3話 ~こっちの生活~
日中に邪魂を冥府へ送って今日の仕事が済んだし、そろそろ夕食どきってことで、僕はタミーとアルに半ば無理矢理的に夕食に付き合わされた。
エレーナは仕事の報告をするために、支宮と呼ぶ巫神達の管理をしてる会社?に向かった。
「ユウトは何が好き?」
「タミーはいつもの木の実やサイレンの葉だよね?」
「アルはがっつりお肉頂いちゃいますよ~! お仕事後だし、おなか減っちゃった、へへ」
キャットピープルのアルは人猫族だけあってやっぱりお肉が好きみたい、エルフのタミーは妖精種だから肉より果物や木の葉が好みって、イメージ通りで安心する。
ここでちょっと雑学、猫って魚が好きってのはみんな知ってると思おうけど、実は元々は肉が好きだったんだって、ライオンやトラと同じってことらしい、これ高校の先生の受け売りです、へへへ。
僕たちは町のある居酒屋に入った。
今回入った店は「居酒屋 マシュー」ここは居酒屋なんだけど、まぁ普通の料理もあるのでアルコールがダメって人も気軽に入れる、まぁ人間界の居酒屋とほとんど同じだと思う、(僕は高校生なので居酒屋って入ったこと無いから想像だけど・・)
店に入ってそこそこ時間が経過・・・
「プハァ~! 飲んだ飲んだ! そして食ったぁ~!」
「アル、ちょっと飲みすぎじゃないかしら? 顔、真っ赤じゃない」
「いいのいいの、邪魂を片づけた後なんだから、大丈夫!」
「なにが大丈夫なんだか・・」
僕はアルのご機嫌な顔をみながらため息をついた。
「タミーももうイイの?」
「えぇ、私はもう十分頂いたわ、ユウトも満足?」
「うん、ご馳走様でした!」
3人とも満足して店を出ると、辺りはもうすっかり暗くなっていた。
「エレーナ、来なかったね、忙しかったのかな?」
「エレーナは元々、居酒屋とかが得意じゃないタイプだから・・」
「タミー、エレーナ呼んで今夜の宿決めようよ」
酔っぱらって上機嫌のアルがニコニコしてタミーに宿探しの催促をした。
僕たちはいつも邪魂を狩るために旅をしてる、まぁどっちかというと旅というより放浪っていうほうが近い感じだけど、放浪というとイメージが悪いので「旅」と言ってるらしい。
なので、毎日その日の宿を探すんだけど、移動途中とかで宿が無いときは野宿ってときもあって、邪魂狩りってのもけっこうタフな仕事だと思う。
(%(&~=’&()=)’&%!# (タミーの詠唱、文字化不可能)
タミーが詠唱を始めるとタミーの前に小さい光るサークルの模様が浮かび出た。
この光るサークルは言ってみれば携帯電話みたいなもので、話したい相手を思い浮かべ詠唱することで自動でその相手に繋がる便利な道具だ、テレパシー的通信方法かな?
ツッツッツッ(通信が繋がろうとしてる音)
「はい、エレーナです」
「エレーナ、聞こえる? タミーだけど、今夜の宿取ってあるのかしら?」
「あっタミーですね、タミー、遅れてごめんなさい、まだ宿は取ってないわ、適当に好みの宿を取っておいてほしいけど、お願いできるかしら?」
「いいわよ、じゃあ居酒屋近くで探すわ」
「じゃあお願いしますね」
シュンッ(通話が切れた音)
「エレーナにも連絡したし、どこに泊まろうかしらね・・」
タミーがそう言うとアルが近くの建物を指さして。
「あそこがイイ!!」
それは見るからに高級そうなホテルだった。
「あそこは高そうだからちょっと・・」
僕は高そうな見た目に圧倒されて、尻込みしてしまったけどアルはそれでも引く気はないようで、
「ユウト、高いホテルに泊まるくらいでビビらないで、邪魂を始末した日くらいイイじゃないのよっ!」
酔った勢いなのか、お酒の入ったアルの気迫には敵わない・・
そんなこんなで僕たちはその高級そうなホテルに入った。
エントランスを入ると、いきなり広々としたロビーで天井にはシャンデリアが吊るしてあって、床も厚めの絨毯が敷いてある。
「やっぱり高そうだね、別な宿探そうよ・・」
僕は宿泊料が気になって仕方ないせいで、ついつい弱気になってしまってる。
アルはそんな僕のことなど気にもとめず、さっさとフロントで宿泊の手続きをはじめちゃってる。
「ユウト、もう遅いみたいよ・・大人しく今夜はここに泊まりましょう」
「うわっ、アルってばもうチェックインしてるよ・・」
チェックインを済ませたアルがフロントでこっちに来いとゼスチャーしてる。
「こんな高級そうなところに泊まったりして、エレーナ怒らないかな?」
僕たちはアルの取った部屋へ入った。
部屋は5階なので夜景が綺麗! そんなことも僕の不安材料になっちゃって。
「こ、この部屋、高いんじゃ・・・」
「ユウト! 何グズグズ言ってるの!! 男の子でしょ、腹くくんなさい!!」
酔ってるアルの男勝りの勢いはリアル男子の僕もタジタジだよ・・
「アルってホントは男じゃないじゃないの?」
「ウフフ、私も時々そう思っちゃうわ」
タミーとそんなことを言ってたらエレーナが帰ってきた。
「3人とも、今日はお疲れ様でした、ユウトはこれで邪魂3体目でしたね、ご苦労様でした」
「エレーナ、おかえりなさい、アルの好みでここになったんだけど、なかなかいい宿よ」
「エレーナ、アルがこんな高そうなホテルにしちゃったんだけど、大丈夫かな?」
僕がホテルのことを心配そうに聞いたのをエレーナは笑って。
「ユウト、そんなに心配しなくても大丈夫ですよ、特に今日は邪魂を退治したのですし、少しくらい贅沢しても誰からも怒られないでしょう」
「さぁ明日も邪魂探しをするのです、早く寝て、身体を休めましょう」
エレーナにそう言われ、さぁ寝ようかとアルのほうを見るとアルはお酒のせいか、とっくにベッドで寝息を立てていた。
「さっきまで、あんなに勢いよかったのにもう寝てるし」
「私たちも寝ましょう、また明日・・」
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