第5話 ~戦闘~
~ 戦 闘 ~
さっきまでユルユルモードだったタミーとアルに緊張が走った。
「判りません、でも人じゃないような感じです」
「人じゃないんなら魔物、獣? 邪魂?」
そう言ってアルは戦闘モードになって、周囲を警戒し始めた。
「アル、何か感じる?」
「うぅ~、今は何も・・」
「エレーナ、相手が何者か判らないの?」
「えぇ、でもアルが判らないということは魔物かもしれないですよ」
「魔物?」
「ユウト、戦いの用意を」
「う、うん」
僕はタミーに言われて剣を出して身構えた。
この世界ではいろいろな武器が使えるけど、今のところ僕の武器は剣が一本だけ、まぁこれから経験値が上がっていけば剣以外の武器も使えるようになるらしい、そしてそんな武器は普段は腰のベルトのバックルのようなモノに収納して、戦いなど使うときだけ出すことができる、普段は見えないし軽いし超便利。
こんなときは人間界のグッズは戦いに使うものって少ないから使えないモノばっかり、残念・・
「僕がアメリカ人とかなら武器とか手に入ったのかな?・・」
とか思いながら、僕はアクション映画の戦闘シーンを想像してた。
「それにしてもこんな人のいなさそうなところに魔物がいるなんて変じゃないかしら?」
タミーの疑問も当然だ、こんなところで山賊もないだろう。
「えぇ、もしかしたら町を出てすぐについてきたのかもしれません・・」
エレーナが怪訝そうな顔で予想してみせた。
「何狙ってるんだろう?」
アルが辺りを見まわしながら、面倒くさげに言う。
「私たちの命でしょ、魔物の好物よ」
「私たちの命なんて美味しそうじゃないけどね」
「私とアルの命はそこそこでもエレーナの命なら上品なお味かもしれないわよ、ウフ」
タミーはこの状況でも余裕で冗談を言ってる、図太い神経してるなぁ・・
「何を言ってるんですか、しっかり周囲を警戒してください」
真面目なエレーナはそう言いながらも神術を使う詠唱をはじめた。
&))A')0#=~0^(&=”!”%=~)&%&’’ (エレーナの詠唱文字化不可能)
「防障神術!」
エレーナが使った神術が僕たち4人の周りにバリアみたいなモノを作った。
そのバリアはうっすら虹色に輝いていて、見た目はメチャ綺麗なんだけど、戦いのためのものなので「綺麗だね」なんて言ってる余裕なんてぜんぜんない。
エレーナがバリアを展開した途端、林の一角から鋭い青白い光りが走った!
相手の放った光りの矢のようなものがバリアに刺さって陽の光りの数十倍と思えるほどの閃光を放った。
バッシューンッ!!
「グッ! まっ、眩しい!!」
「ユウト来るよ!」
光りの矢が放たれた方角から黒い塊のようなものが撃速で迫ってくるのが見える!
「突っ込んでくる!」
「ヤバい! 避けてッ!!!」
ズギャーン!!
その黒い塊はバリアに当り眩い火花と轟音をとどろかせた。
次の瞬間、バリアが破られ黒い塊がアルの目前に迫った!
「危ない! アル!!」
僕は思考よりも早く身体がアルのほうへ向かった!
ほんの一瞬の差で僕はアルを抱き抱え黒い塊の弾道から脇へ避けることができた。
黒い塊は地面に触れて方向を変え、そのまま去っていくかと思ったらUターンして再び迫ってきた。
「また、来る!!」
「はっ、速いわッ!」
エレーナは空中から黒い塊に向かって閃光矢弾を連続打ちしてるけど、相手の動きが速すぎてなかなか命中していない。
タミーと僕は持っている剣を上段に構えて黒い塊へ向けて振り下ろしざまに術をあびせた!
「ブレードルミナーッ!!」
バシューン!!
バゥ~ン!
僕とタミーのブレードルミナーが黒い塊に当たり、辺りに鈍い音がとどろいた
直後黒いヤツは左へコースターン、林の奥へ逃げていった・・
「逃げた?」
「みたいだわ」
「ユウト、タミー、よく撃退してくれました」
「あぁ、エレーナの援護射撃も効果あったんじゃない?」
僕は息が上がりぎみではぁはぁしてたけど、撃退できたのでホッとしていた・・
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