3月26日 真っ白なスミレ
散歩の途中であるものを見付け、私は思わず足を止めた。虫や植物を見付けるたびに立ち止まっているので、この行動そのものは大して珍しくはないのだが、今回はいつもとは少し違っていた。私の胸は、いつになく高鳴っている。とても興味深いものを見付けた。真っ白なスミレだ。
スミレは濃い紫色の花が魅力的だが、時々、とても色の薄いスミレを見ることがある。しかし今日見付けたものは、そんな中途半端(色の薄いスミレに失礼な表現だが)なものではない。本当に、真っ白なのだ。
去年までは、こんなものは咲いていなかったと思う。実際、株の大きさもとても小さい。芽を出してからそれほど経っていないのだろう。
道の端、境界ブロックの隙間に一直線に、ずらりと並んで咲いているその姿は、まさにスミレといったおもむきだ。アリに種を運んでもらったのだろう。大元となった株はどこにあるのか、探してみたけれど、よく分からなかった。
とにかく、どこからかやってきた白いスミレが、アリの力を借りて勢力を拡大しつつあるらしい。どこから来たのだろう。彼らは、何なのだろう。
白いスミレで調べてみても、候補がありすぎてよく分からなかった。特徴をメモして、図書館に行って本格的に調べてみるしかない。花の色は白、葉の形はまっすぐで細かった。有力候補としてはアリアケスミレだが、断定はできない。
今までなかった植物が急に現れる、という現象をよく目にする。一昨年の夏は、なぜだか至るところにコミカンソウが大量発生した。雑草という雑草がコミカンソウに居場所を取られ、ヤブガラシ(セスジスズメの食草)が圧倒されてしまい困った記憶がある。
去年の夏は、一転してコミカンソウは全く見かけなかった。植物の世界に、どういった循環があるのかはよく分からないが、とにかく雑草というものは、消えたり現れたりを繰り返しているものらしい。
白いスミレはどこから来たのだろう。いずれあの道路脇は白いスミレに埋め尽くされるのだろうか。それとも、一昨年のコミカンソウのように、ふとどこかに消えていくのだろうか。
今日見た限りでは、白いスミレたちはまだ種をつけている様子はなかった。種が出来たら、是非とも少しいただきたいものだ。我が家のアイドルすみれちゃんに、色違いの可愛い後輩ができるかもしれない。
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