星邍が滿天の幽霊だと聆かされてからは瞻上げていなかった、彼方にだけ手が届きそうだった。漂着物に䒭しい私からは程󠄁遠い、落羽時見をまだらに甘縊る懸影状の電光飾が排他的にさやぐ通りを思い浮かべてみる。格子を諸折り上曇る声差と靴音は羽重に鏈るはずで、けれど咫尺の閾値が泡遏った。時じく旁魄する伽藍の獣性が縄目の牌を降つ。一場、寝息で擬球を奏で漓れる天使の腹上に那辺の複葉が翕じる気がする。茲までの湛然が、海界にいざよう鏡面でもいいから、落椿状の被蓋然領域を開かる前触れであればいいと祈む。極高架の環形を、勝󠄁手に信じていたいだけだった。わくらばに餘滴の阿瀰陀がまだ消󠄁失していないとしても、獄窓からの作像は掛け違󠄂うだろうか。翼翼の一艘を脈動で曳いても盈虧のようにはえ避らず、ただ潮どく透き影になるだろうか。もう一度暗箱へ皈るまでの配景にはいつも指痕があるのに。常陰を遅る砂上で、符号が順送りに臚列することを解したかった、だけだったのに。

 夕陽が射して、それで、見つかったらしい。

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