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 一度きりでも対象を致命的に傷害できる唯一の理由となるならそれは尽未来際、軌跡を絞めて掻き暗らす不治の傷になる。落掌の擺脱されていない異物を一度でも嚥下してしまえば、生者は腑から畷を齝む。継ぎ接ぎな端倪は他でもないその持ち主の首を握り餓えて、別の夢見がその手を殺いでから漸く、現有の空きへ現実味を受容する。

 自由意志の未遂と言って、等分の半球を黙許されたわけではない。あり得ることを撒手したわけでもなくて、うたがたも疵瑕はただ来経行く。私の采幣を掏り拔ける領分から。傅かせても寵むことはない神慮から。経過しない。通り過ぎてしまえない。懸隔をどう掛け替えることもできなかった。一刻みの人香が、六喩の規矩を綰ね蹶れるように。思惑を直身へ彎く倒立像が、背後で間歇性の囁嚅を戳く。

 真艸羚まどれ先生、という呼声を言い切らないうちに、弖爾乎波を贅張った手爪へ先生が触れた。異時の引延が閊えて、曳糸みどろな鐘声の手繰りに咳き上ぐ。車軸をくだすような入来から、状箱の鍵同化によって涯分は毀されていく。列らな気息の回路は喉奥から媒材に揺らぎ、行潦に根垂る思の色が五月蝿なす。この手底に搦め鏤る、そんな頭蓋を摧きたい。

 雨が降り歇む途轍に影差す心理は渚として、同心円状の非破壊で起ち端を閼ることを斷められている。Y字路の二択で列星は一理でも變わったりしない、孰方にしろ勾配は落下の進行方向を示顕していた。

 せめて自分自身にとっての当為を自覺したいのに、私にはそれすら途方もない。

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