マクロな背景に、確かなミクロ描写

惑星間移動、また他惑星への入植などが行われるようになった、未来のお話ではありますが、惑星同士のコミュニケーションが取りづらい環境であるため、辺境惑星では孤立した文化でどうにかしがち、と言った世界観。
この『始まりの章』は辺境惑星の一つ、テクトリウスという星に降り立った少女、ロクサーヌが頑張るお話です。

上記の説明では若干SFっぽさが強いように思われるかもしれませんが、案外とそうでもありません。
始まりの章ではまだ壮大なスペースオペラのような雰囲気は全くなく、むしろ舞台となる星の文明レベルが適度に抑えられているため、慣れ親しんだファンタジーっぽい世界観に巨大メカをぶち込みました! というような、おそらく著者の『好き』を混ぜたのではないかな? と推察できる感じのお話になっています。
ファンタジー世界で巨大メカが大暴れ! みたいな作品なんかが好きな方なら楽しめると思います。

今回は始まりの章ということで、本題の前触れになるようなちょっとしたお話しか展開されないながらも、予測されるストーリーはそれこそ宇宙規模にまで発展する余地を残しています。
本作からも窺い知れる著者の筆力は高く、安定しているので、それによって描かれる今後のストーリーに期待が持てます。

欲を言えば、M.O.V同士の戦闘も始まりの章に入れてほしかったなあ、なんて。

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