ロボ×A.I×公女=浪漫。

 本レビューではネタバレなしにするため、敢えて本編のあらすじには触れないようにする。だから今回紹介するのは浪漫要素である。なのに長文なのは勘弁願いたい。

 さて、SFに壮大な舞台は必要ない。宇宙の一惑星や一地方でも十分だ―――と言うのは多くのSF作品に触れてきた諸兄ならば頷いてくれることだと思う。

 本作も大宇宙に広がる文明圏が設定的にありながらも舞台となっているのは辺境惑星の一地方。雰囲気的には中世のような空気を漂わせながらも、部分部分で進んでいる文明のお陰か電子決済と金銀の通貨がごっちゃになっていたり、SFものではありがちな電子ドラックもありそうなのにナマモノ麻薬がまだ幅を効かせていたりとチグハグな様子。

 それもそのはず、恒星間移動は実現できたけど特性上不安定で人類がろくすっぽ制御できないから通信や貿易が難しく、気軽に文明の均一化が出来ないから入植した星々が独立独歩してしまった―――と言う設定があるのだ。

 そんな中で一際目立つ特異点がM.O.V.という人型機動兵器―――つまりロボである。

 この時点で興味をそそられたSFオタにはもう何も語ることはない。こんなチンケなレビューなど早々に閉じて本編へと進むが良い。主人公機は当然、量産機や四脚ロボが君を待っている。

 ではまだこのレビューを見ている諸兄にはA.Iを語ろう。本作にはSFにありがちなA.Iが出てくる。しかも昨今の萌えに寄せたライトオタ向けではない。古式ゆかしいナイ◯ライダーやサイバー◯ォーミュラやフル◯タル・パニックに出てくるような冷静且つイケメンなA.Iだ。健気なマスコットもいるぞ。安心して本編へ赴くが良い。

 そしてまだこんなレビューを見ている踏ん切りのつかないヤツ。そうだ、貴様だ。鉄と硝煙だけでは物足りないと宣う欲張りな貴様だ。全く、強欲なヤツだ。必要だと宣うのだろう?女の子が!美少女成分が足りないと………!
 安心するが良い。この作品の作者様はそんな醜態を晒すような間抜けではない。隙無くちゃーんと用意しているぞ。喜べ!しかも主人公だ!!

 この物語は、公女ロクサーナが相棒二人と巨大ロボを引っ提げて惑星テクトリウスを舞台に大暴れする―――そんな作品だ。

 ロボ、A.I、美少女―――この3つの内どれかに惹かれたのなら、一読することをお薦めする。きっとそこには諸兄の琴線に触れる浪漫要素があることを、私の経験から保証しよう。

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