雨のそらごと

淡いようで切なすぎる物語でした。求めるものは純粋であっても、得られるものはどこか満たされないアンバランスさを感じました。
物語の世界に没入でき、感情移入できる作品かと思います。

なんと説明すればぴったりくるのか、僕の力では表現ができないのが心苦しいです。
ただ、人との繋がりを完全に断ち切ることはできないのだなと実感しました。

「愛してる｣
「好きだよ」
その言葉にはどれだけの想いが込められているのでしょうか。その想いにどれだけの想いを返してあげられるのでしょうか。
そのバランスが釣り合っていないと感じた時、きっと人は人の繋がりの虚しさややるせなさを感じるのではないかとこの物語を読んで思いました

短い文章の中で色んなことを考えさせられる作者様の文章力に脱帽します。

気が付けば、作品の世界の雰囲気に包まれていました。
読者を物語に没入させるのが上手い作家さんだと思います。

没入感凄かったです！
すぐに読み終わってしまいました。
最初は純愛でも、気がつくと真っ黒だったり、男女の価値観だったり、表現がとても的確で面白かったです。

人を本気で好きになればなるほど、相手の心が自分から離れていることが分かってしまう事があります。
目を背けようとしても、残酷なほど心が気付いてしまう。

冷たい雨を背景にこの物語は静かに、そして狂気にも似た冷たさで、人を愛する事の難しさや儚さを教えてくれます。

心離れていく彼氏の存在を感じながら、その寂しさ、虚しさからSNSで繋がった彼以外の男と体を重ねても、どこか満たされない空虚感を感じ、男の甘い言葉にも空々しさを感じる主人公。

物語の中で主人公の女性は愛情について、このように語ります。
「どちらかが重いから、片方は浮くんです。シーソーみたいに。平等なんか、どこにもない」
これほど恋愛の…続きを読む

大人になれば、子どもの頃のように恋に恋する気持ちも、純粋に相手だけを見て恋することもなくなっていく。
そして、気持ちはずっと同じではいられない。不変なんてないことに気付くのだ。

ラブコメに定評のある『にわ冬莉』様 が描く、とても美しい文章の、大人の恋愛模様。

雨の日に、雨音を聞きながら読むことをオススメします。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（168文字）

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（176文字）

まさに、一見の価値あり。
わずか、3,556文字の短編小説にもかかわらず、これほどまでに衝撃を与えてくれるとは……。
独創的な世界観とその描写力の見事なことに想像を絶するほど、衝撃を受けました。
本当に狂気と純愛の狭間は沼そのものです。

死と生は平等と言う男女が触れ合い交わる。
しかしそこにヒロインは明るい展望を見出せない。雨はまだ降っているのだ。
心地よい雨滴のような文章に、心を委ねて魅了された。
雨は降り続けるかもしれない。
けれど雨を好きだと思う人もいる。