そらごとが交わされる、雨の日の夜

美しく詩的ですが、どこか虚無的な香りもある作品です。
その場限りの情熱を語る男に対し、女はそれをそらごとと思い、空虚に感じます。
そうした対比が、雨の音や流れといった背景にうまく溶け込んで、いっそう、移ろいやすい愛情のほろ苦さやむなしさを印象づけているようです。
短く無駄のない文章のなかに、さまざまな雨の効果が仕込まれていて、素敵な作品と感じました。

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