ひろさちやさんが、誤りがあると、ある箇所を指摘している。ひろさちやさんの理屈を踏まえても、私には誤りだとはおもえない。芥川龍之介の作品ではいくつか、ときおり思いおこし、考えさせられる作品があるが、本作はそのひとつ。この度読みかえし、感じおもったのは。犍陀多がみた、糸を登ってきた罪人らの姿は幻影であったのかもしれぬということ。綺麗にまとめてあるが、中身は非常に残酷であるということ。芥川龍之介自身は、お釈迦様ではなく、犍陀多に近い精神生活にあったのだろうということ。なにか道徳だの、教訓だのという読み方だけでは、もったいない。豊かなものがある。
さてさて、今さら内容には触れません。人間の業、案外、傍観者たる神の真骨頂がつまった名作です。面白いのが、わずか3000文字というところ。伝えたいテーマは短い程良い、というお手本でしょうか。ですが、数多の作品がひしめき合っている現代において、PRなくしては読まれることすら難しいでしょう。拝啓――芥川龍之介先生世知辛い令和を生きる我々に、作品を30文字以内でPR(アイキャッチ)するならば、こんな感じでしょうか。
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