二
こちらは地獄の底の血の池で、ほかの罪人といっしょに、浮いたり沈んだりしていた犍陀多でございます。なにしろどちらを見ても、まっ暗で、たまにそのくら
ところがある時のことでございます。
こう思いましたから犍陀多は、さっそくその蜘蛛の糸を両手でしっかりとつかみながら、いっしょうけんめいに上へ上へとたぐりのぼり始めました。もとより大どろぼうのことでございますから、こういうことには昔から、慣れ切っているのでございます。
しかし地獄と極楽との
すると、いっしょうけんめいにのぼった
そこで犍陀多は大きな声を出して、「こら、罪人ども。この蜘蛛の糸は
そのとたんでございます。今までなんともなかった蜘蛛の糸が、急に犍陀多のぶらさがっている所から、ぷつりと音を立てて
あとにはただ極楽の蜘蛛の糸が、きらきらと細く光りながら、月も星もない空の中途に、短くたれているばかりでございます。
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