第9話 生命の大切さと彼女の存在

次の日。


俺は足取りが重い中


昨日の出来事が頭から離れず学校へと向かう。





「嵩矢間…ちょっと良いか?」




俺は彼女に報告すべきか迷う中、話をする事にした。




「うん…霞ちゃん…どうだった?」

「いや…どうだった?と言うより…どうなった?の方が…」

「…えっ!?…どういう……事…?」

「アイツが住んでいる建物、俺が向かった時は既に火事になってて…」


「…えっ…!?…嘘…霞…ちゃんは?」



「………………」



「ねえっ!霞ちゃん無事だったんだよね!?」




俺は左右に首を振った。




「嘘…でしょう…?ねえっ!霞ちゃん無事…」



嵩矢間は、俺の腕をガシッと掴み体を揺らす。



「落ち着け!」

「そんなの無理だよ!だって…」


「まだ安否確認が分からないから俺も…昨日の今日だし…現場にいたけど…火が鎮火するまでは…アイツの姿は…なかったし…現れなかった…」


「…やだ…そんなの…霞ちゃんが…霞ちゃんがいなくなるとか…そんなの…」


「俺も同じだから…昨日の事を聞きに行くから、嵩矢間は、アイツの無事を祈ってて欲しい」


「…樹羅…君…」


「アイツは…絶対に生きてる!俺は、そう思ってる!アイツが…この世からいなくなるとかって考えたくねーし…だから…待っててやって!必ず探し出してやるから!」




それから俺は徹底的に探して見つける事にした。



その日の情報を調べるも詳しい事は分かりはしない。



「すみません。ここの病院に佐久羅 霞さんという高校生の方が一週間前位に緊急搬送されて来たと思うんですけど……」


「…ご家族の方ですか?」

「…いいえ…同級生なんですけど…」

「…同級生…そうなんですね…」

「…あの…彼女の容態は…どういう…」

「…数日前に要約、目を覚ました所なんです。面会ご希望ですか?」

「はい。もし可能ならお願いします」



俺は病室を聞き、彼女の元へと向かった。



「…霞っ!!」


「…君は?彼女の知り合いかい?」



ご年配の男性が尋ねてきた。



「あ、はい」


「彼女なら小児病棟の所に、いるはずだよ。3日前にやっと目を開けたんだよ」


「3日前…そうですか…分かりました。ありがとうございます」




私は、子供達に囲まれ話をしていた。



「…霞っ!」



名前を呼ばれ振り向く私。




ドキッ



「…えっ…!?…樹羅君…!?」




グイッと抱き寄せ、抱きしめる樹羅君。




「ちょ、ちょっと!子供達の前で…」

「…良かったーー!無事で」

「…えっ…?樹羅…君…?」


「俺、お前の所に行った時、既に火事になってて…現場に、ずっといたけど、お前の姿が見当たらなくて」


「…えっ…?樹羅君…現場にいたの?」



抱きしめた身体を離す。



「お姉ちゃんの彼氏?」

「えっ!?違うよ。お友達」

「抱き合ってたのに?」

「えっ?…いや…えっと…」


「男の子と女の子でも友達なら抱き合うんだぞー」



樹羅君が子供の目線に腰をおろし笑顔で対応する。


めったに見れない光景だ。




「ここは日本だけど、外国…飛行機乗って行く遠い遠い場所は当たり前なんだ。だから、彼氏とか彼女じゃなくてもしている。もっと大きくなったら分かる時くるよ」


「そうなんだ」


「とおるーー、診察の時間よーー」


母親が男の子を呼んだ。


「はーーい。じゃあね!お姉ちゃん、お兄ちゃん」



「またな」

「またね」


男の子を別れる。




スッと私の手を掴んだ。



「霞と、もう少し話をしたいけど、体調大丈夫か?出来れば2人きりになれる所が良いんだけど」



ドキッ



「あ…うん…」



私達は病院の屋上に移動した。



「悪い。きつくなったり、気分悪くなったら言って」

「うん…」



やけに優しく感じる。


しかも好きな人だから尚更だ。



「…あの火事の日、2人の子供を守っている女の子がいたって聞いて、尋ねると高校生くらいって…嵩矢間も俺もスッゲー心配して…色々調べて要約ここに辿りついて…」


「そうだったんだ…探して…や、やだなー、樹羅君、私ならこの通り元気…」


「3日前に目が覚めたんだろ?」


「…疲れてたんだよ。だけど、私いなくても、どうって事ないでしょう?私には何も残ってないし、必要とされてないから」


「何、勝手な事、言ってんだよ!両親いないなら、その分生きろよ!」



「………………」



「…樹羅君…知って…」


「…知ってるも何も…俺の両親は、お前の両親と、同級生だったから……」


「えっ!?」




「仲も良かった。お前の所…離婚してから事故ったんだろう?」




「………………」




「離婚してからも2人は友人として仲良くしていて、俺の両親とも良く出掛けたりしてんの知ってるし」


「…そっか…」


「…霞、退院した後、行く宛あるのか?」

「ううん…それ所じゃないから…まだ決まってない」

「そっか…」


「だけど、面倒見てくれる人はいないから、施設になるかも。第一、別に、もう何も残ってないし」


「……霞……」


「大丈夫!私は平気だから!みなみちゃんにも伝えておいて!今日は、わざわざありがとう」




彼女は俺に笑顔を見せるも、どこか切なく哀しい表情をしていた。



「話は終わった感じ?病室に戻って良いかな?」

「あ、ああ」



彼女・霞は戻り始める。


俺は体が勝手に彼女を引き止め、背後から抱きしめた。





✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕




私の手を掴み、背後から抱きしめられた。



ドキン




「樹羅…君…?」

「…しばらく来て良いか?」

「…え…?」

「お見舞い」


「忙しいでしょう?私の事は大丈夫だから。無理しないで」

「無理してんのはどっちだよ」



向き合う私達。




「お前は一人じゃねーから!一人で抱え込むな」


「…樹羅君…ありがとう…気持ちだけで充分だから…それじゃ今日はありがとう」



私達は別れた。


















































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