第12話 再燃する、恋の灯

それから数ヶ月が過ぎ、私は再び雅斗への気持ちが動き始めていた。


「同居して…早、数ヶ月…まさかの再燃…」




ある日の夜─────




「雅斗ーー、雅斗ーー」



コンコン

ドアをノックする私。




「…………………」



「雅斗?開けるよ」




カチャ



「…寝てたんだ」



私は雅斗に毛布を掛けた。



「…幸せそうな寝顔…雅斗って相変わらず…カッコいい…もう一回チャンスは…あるかな…?」



私は少しの間、雅斗を見つめ部屋を後に出て行った。




数日後の夜。



「ヤバ…着替え忘れた!」



お風呂からあがり、部屋着を着ようとしたが、身に付けるもの一式忘れている事に気付く。


流石に、着替えを雅斗に頼むのは……


私はバスタオルを体に巻き、部屋に向かう事にした。



その途中─────




ガチャ


ドアが開く。



「あっ…!」


「…なっ…!」



見つめ合う私達。



「ご、ごめんっ!洋服忘れたから!」



私は足早に去った。




ある日の事────



「ただいまー。ごめん雅斗。バイト長引いて……」



私は最近、 色々な物件を探しながらバイトを始めた。


ずっと、ここにいるわけにはいかないと思っているから。




「……………………」



「……あれ?いないのかな?」




私は荷物をキッチンルームのテーブルに荷物を置き、雅斗の部屋に行ってみる。




カチャ


ドアを開ける私。




ドキーッ



「きゃあっ!ごめんなさいっ!」


「うわっ!」

「きゃあっ!」



私は慌ててドアを閉める。

私の目に飛び込んだ光景は男女が裸でベッドに横になってる姿。


だけど相手は私の知らない人達。



しばらくして─────



カチャ


雅斗の部屋のドアが開く。



「あ、あの…シャワー」


「きゃあああっ!洋服着て下さいっ!」



私は背を向ける。



「いや…シャワー浴びるから…」

「勝手に使って下さいっ!」



その時、別の部屋が開く。



「何、騒いでんだよ?うるせーな!」


「えっ…?雅斗…いた…」




ズキン

言い終える前に胸の奥が大きく痛む。


雅斗と一緒に、知らない女の人が出てきたからだ。



「あっ!霞、お帰り。お前、帰って…」



言い終える前に口を開く私。



「なんだ。……彼女…いたんだ…そっか…お邪魔だったね」




私は部屋を飛び出した。




「あっ!おいっ!ちょ、霞っ!!悪いっ!鍵、ポストな!」

「えっ!あ、ああ」


「霞っ!」



グイッと引き止められた。



「離してっ!」



私は振りほどき走り去った。



「霞っ!待っ……くそ!アイツ…」



私は気付けばホテル街にいた。



「…いつの間に…私…無我夢中だったから」



そこへ─────



「彼女、何してんの?彼氏に逃げられた?」


「ホテル街に女の子が一人って…実は彼氏の浮気現場目撃しちゃったとか?」


「違います!」



グイッ


肩を抱き寄せられた。




「や、やだ!離して!」



私は何とか押し退け走り去った。



「追えっ!」

「おうっ!」



私は、そうとも知らずに、逃げ切ったかと思うも前後に挟まれた。



「別に逃げなくても良いじゃん」

「そうそう。せっかくだし遊びにでも行こうぜ」



「他、当たって下さい!」



「そう言わないでさ」




グイッと腕をつかまれ、再び肩を抱き寄せられる。



「や、やだ!離して下さい!」



そう言うも、強制的に連れて行き始める。




「ちょ、ちょっと困ります!」



「ホテル街にいたくらいだし、何かしら理由があるんでしょう?」

「嫌な事は、パァーと遊んで忘れ……」



相手が私から離れた。



「何すんだよ!」

「何だよ!お前」



「……………」



《…誰…?》



「彼女は俺の連れなんだよ!」


「はあぁっ!?何、勝手な事、言ってんだよ!」

「連れなわけねーだろ!?」

「他の女と一緒にいたんだろ?」



相手の胸ぐらを掴む姿。



「連れっつったら連れなんだよ!」


「女がホテル街に一人いたんだぜ?」


「だから?」



「えっ?」

「だから何だよ!」



「……………」




彼は舌打ちする。



「離せよ!おいっ!行くぞ!」

「ああ」




二人は去って行った。



「すみません、ありがとう…」




グイッと腕を掴まれたかと思うと、抱きしめられた。



「ちょ、ちょっとっ!な、何する…っ!」



更にぎゅうっと抱きしめられ



「良かった…マジ焦った…」




ドキン



「…えっ…?雅…斗…?」




すぐに分かった。



毎日聞いている好きな人の声だ。




だけど……



押し離そうとする私を離そうとしない。






「このまま聞いて欲しい。誤解…解かせろ…」




「………………」



「彼女には告白はされたけど、好きな人がいる事は伝えてある」




ズキン


胸の奥が痛む。





「…好きな人…そうか…だったら…もう…私の居場所は…ないね…」


「…えっ…?」



抱きしめた体を離す雅斗。




「私…出て行くね」

「出て行く?どうして?」

「だって好きな人いるんでしょう?だったら私邪魔じゃん」



私は背を向ける。



「ずっといるわけにはいかないと思って、部屋探してたんだ」





泣きそうになる自分の思いを抑え、振り返り同時に笑顔を見せる。





「なあ…好きな人とうまくいく保障ねーのに出て行くって、おかしくね?」



「………………」




私は下にうつ向く。




「…雅斗は…雅斗はカッコいいから!」



顔をあげ再び笑顔を見せる。




「だって…私が好きになった人だから!私が選んだ男(ひと)を文句言うなら私が許さないんだから!きっとうまくいくよ!」




そう言うと、泣きそうになる思いをグッとこらえ私は帰り始めるも、足を止めふと振り返る。



「雅斗?ねえ、帰らな…ぃ…」



フワリと頭から洋服を被せるようにすると、キスされた。



「…勝手な事してんじゃねーよ。出て行けるわけねーだろ?」



ドキッ


至近距離にある雅斗の顔に胸が大きく跳ねるも、ドキドキ加速する。




「…雅…斗…?」


「お前の居場所、誰にも譲る気、一生ねーから!」




ドキン



グイッと抱きしめられる。





「お前以外…考えてねーし。だから、出て行くなんて言うなよ。ずっといていいから…」


「どうして…私…?雅斗と私なんてふつりあい」


「だったら…俺が好きになった女(ひと)、選んだ女(ひと)の文句を言うやつは俺が許さない」



ドキン



「…雅斗…えっ…?」



《つまり…それって…》

《相思相愛?いつから?》



顔をあげると同時に再び唇を奪われ、抱きしめられる。



「…雅斗…ここ…街中…」

「知ってる…二人の世界…つーか…全部(すべて)奪って良いか?」



ドキッ



「全部(すべて)って…えっ…?」



私の手を掴むと歩き始めた。




「ねえ、何処…」

「帰るんだよ」

「えっ!?」

「俺達の家に」

「えっ?」


「他にどこがあんだよ!」

「それは…そうだけど」




私達は帰る事にした。


























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