第6話 二人の想い
「霞ちゃん。最近、樹羅君とはどう?仲良くやってる?」
みなみちゃんが尋ねてきた。
「えっ?別に普通だよ。ていうか、私達は付き合ってるとかじゃないし」
「そうだろうけど、最近、更に仲が良いみたいで良い雰囲気じゃない?」
「えっ!?」
「2人が一緒に帰っている所を見た女の子達が "隣にいる子が羨ましい" とか "仲良くていいな" って噂してるらしいよ」
「だけど私達は普通に話して帰ってっていう感じなんだけど…」
「当たり前の様になっているからかもね?」
「そうなのかな?」
そして、その日の帰り私は時々、樹羅君を見ていた。
「さっきから何だよ!」
「えっ!?…あ、いや…樹羅君イケメンなのにどうして彼女がいなくて私と帰っているのかな~?って……もっとこう釣り合う人とかいるんじゃないかな?って…」
「…そうだよな~。どう見ても俺達、不釣り合いだよな~と言うよりアンバランスカップルだよな?」
「そうだよ!でも付き合ってなくて、ただのクラスメイトで…樹羅君にとって…私って…どんな存在なの?」
「えっ?」
「…ごめん…」
「いや別に。お前の気持ちは薄々気付いてるし」
「別に…私は…」
「誤魔化さなくても素直になれば?否定はしねーし。でも俺まだやりたいこと色々あるし、お前と付き合う事は出来ねーけど、お前とは今のままの関係でいたいから」
「………………」
「もしかすると好きになるかもしれないし、ならないかもしれないし…お前が待つって言うなら考えてやっても良いけど」
「いつになるか分からなくて……待つなら考えても良いとか…期待させるような言い方、辞めてよ…樹羅君の事は確かに好きだけど…待つのに限度があるよ…」
「……霞……」
「…樹羅君の気持ちは何となく分かった…今はクラスメイトとして友達として…今の関係で…自分の想いに限界が来た時…私は樹羅君に正直に気持ち伝える」
「…ああ」
それから数ヶ月が過ぎ────
ピンポーン
私の部屋のインターホンが鳴った。
「……はい…ゴホッ…ゴホッ…」
カチャ
ドアを開ける私。
ドキッ
「……えっ!?…樹、樹、樹羅君…!? えっ?えっ?な、な、何でっ!?」
私はドアを閉めようとした。
無理もない突然の意外な訪問者に頭がパニック状態。
かなり焦りパニクっている自分がいた。
私は病気で欠席な最中、今、私の目の前には、好きな人・樹羅君の姿が───
グイッとドアを止める様子で上下、手足を使って止める樹羅君。
「な、何?何しに来たの?風邪…ゴホッ…移るから…」
私を押し退け部屋の奥に入って行く。
「あっ!ちょ、ちょっと!困…」
「風邪引いて、一人で自分自身を看病出来るわけねーだろ?特別面倒見てやるよ」
「い、良いっ!大丈夫だから!樹羅君に移ったら大変!両親に申し訳つかなくなるから!」
「俺の両親は、一年前に死んだ」
「…えっ…!?」
「だから俺、身寄りねーの。つー事で、もし風邪移ったら、今度はお前が俺の看病な。とにかく栄養摂れ!」
そう言うと、樹羅君は手際良く、キッチンに経つと何かを作り始める。
「なあ、お前好き嫌いあったりする?」
「えっ?あー…特にはないかな?」
「そっか」
樹羅君は、お粥を作ってくれた。
「熱いから気を付けろよ。それとも、フー、フーして冷ましてやろうか?」
イタズラっぽく笑う樹羅君。
「だ、大丈夫です!」
「そう?」
「…美味しい…」
「当たり前だ!」
「しばらく通わせてもらうからな」
「えっ!?いやいや…」
その後、しばらく樹羅君が来てくれた。
そして、風邪もほぼ治り────
「風邪、随分と良くなったな?」
「お陰様で」
そして、私は手料理を作ってあげた。
「これで貸し借りなしね」
「とりあえず、そうしとく」
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