一話ごとの文章量が多くなく、さらっとけもみみ陰陽師たち主人公の日々が季節の移り変わりとともに描かれる現代ファンタジーです。割と淡々とした語り口の文章ですが、登場する妖怪たちのほのかな息遣いと情景を感じる作品だと思います。
雪に埋もれていた兎耳の少年・翼が、狐耳の童子や優しい陰陽師たちと出会って、少しずつ“人としてのぬくもり”を知っていく――その過程が、静かに心に沁みてきます。 初めてのお風呂、箸の使い方、人参の味。どれも新鮮で、でもどこか懐かしい感じがして。読んでいるこっちまで、一緒に「人になる」体験をしてるようで、じんわり胸があたたかくなりました。やわらかな描写と幻想的な雰囲気に、和風の世界にそっと包まれるような心地よさがあります。 続きを読みたくなる、優しさと再生の物語です。
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