はじまりは異世界転移、それも放課後の学校で起こったため、巻き込まれたのは二十三人の教師と子供、保護者である。
草原に飛ばされた彼等は、教員ゆえの統率力を武器にサバイバルをはじめる。
と、ここまではよくある話。
読み進めるうちにはじまる登場人物達の人間関係と裏事情、それぞれが持つ悩み、それらが互いに影響し合い物語が進んでいきます。
転移先の世界の住人との交流、魔法も絡んで、どんどんお話は深くなっていきます。
すごいのは登場人物一人一人の心理描写、背景が見事に書き分けられているところ。
彼等が本当に現実にいるかのようです。
この他には無い魅力を持つ長編ファンタジーを、ぜひご一読ください!
集団転移した教師たちのキャラクターや関係性が分かりやすく丁寧に描かれており、日常の有り難みや共感を覚えます。流行しているような転移物語ではない要素が、本作品の大きな魅力です。第二章までを読んだ感想になりますが、細かい謎が随所に散りばめられていて、これは今後どうなっていくんだろう? これにはどういう意味があるんだろう? とスートリーの展開からだけでなく、登場人物たちの台詞からもつい気になって考えてしまいます。
登場人物の大半は教師たち大人ですが、一緒に転移した生徒たちにもそれぞれ魅力があって謎があります。作者さまは、異世界転移でありながら現実味のあるストーリーを緻密に描き、同時に数多くの登場人物たちを分かりやすく表現されていて、その丁寧さに感心します。素晴らしいです。
本作品は話数は多いですが、一頁の文字数は読みやすい長さになっていて、展開も気持ちよく良く進んでいきます。ルビや改行を含め、読者への配慮が丁寧な作品なので、子どもから大人まで楽しめる作品だと思います。
ぜひ実写やドラマなどの映像でも観てみたい作品です。ぜひこの壮大な謎を一緒に味わいながら、解き明かしていきましょう!
『職員室転移 ~先生たちのサバイバルと、会議と、恋愛と、謎と、いろいろ~』の第一章と第二章を読んだ感想です。
この物語は、普通の教師たちが突如として未知の状況に立ち向かう様子を描いており、非常に魅力的な要素が詰まっています。物語の序盤では、主人公である八乙女涼介が教育実習生の上野原玲をサポートし、日常業務をこなす様子が描かれ、キャラクターたちの人間関係が細かく描写されています。特に、涼介と玲の関係やコミュニケーションが魅力的で、彼らの成長に共感しました。
物語が進むにつれて、未知の「世界の揺れ」や職員室の不可解な変化が起こり、キャラクターたちは新たな状況に立ち向かう決意をします。生活の基本的な対応策から始まり、役割分担や計画の立案など、サバイバルの要素が物語に加わり、緊張感が高まります。
また、星空観察や地理的な問題など、科学的要素も物語に取り入れられており、知的な楽しみも提供されています。キャラクターたちの個性や関係性が物語に深みを与え、読者は彼らの成長や困難に共感し、一緒に物語を進めたくなります。物語全体がどのように展開していくのか、そして謎が解明されるのか、非常に期待しています。
職員室が異世界に転移してしまうというお話です。
教室、もしくは学校がまるごと転移してしまい学生たちがサバイバル生活を余儀なくされる――というものはそれなりに見たことある気がしますが、そういったジャンルにありがちな展開とはかなり趣が異なると感じました。
この作品は転移するのが職員室ですので、集団転移したメンバーの殆どが分別のある社会人の教師であるというのが特徴的な点であると思います。
三部まで読み進めましたが、仲間割れや派閥争いのようなものは見られず、主人公たちの行動は非常に理性的かつ、計画的です。
転移と言っても、昨今流行の転移モノではお約束であるチート的なものなどは一切なく、ファーストコンタクトでは現地人とのコミュニケーションすらままなりません。
仲間を思いやりつつ一致団結し、純粋に知恵と工夫で生き抜いていこうとする姿を応援したくなります。
集団転移した者の多くが大人です。
主人公ですらバツイチのおっさんという徹底ぶり。
しかも9割くらいの転移者が教師!
人間の成長に対する理解や教養、集団をまとめる豊富な経験、倫理的な行動を求められる立場の教師たちが、どのようなドラマを繰り広げてくれるのか、過去に似た作品がない故に先が読めません。
さらに期待できる要素として、数人の小学生児童やその保護者、学校に付随する職業の方などまで集団転移に巻き込まれています。
地の文はとても分かりやすく、さらさらと読めます。
そして、セリフに使われる単語の種類だけで、ある程度、誰のセリフなのかわかってしまうところに驚きました。
キャラクターも全員魅力的です。
主人公のくたびれた感じ。
人妻女教師の、何とも言えない母性と色気。
若手教員の、直接的な可愛さ。
話のテンポが速いので、活字が苦手な方はもちろん、すべての読者に自信をもっておすすめできます。
こんな作品は読んだことがない。
異世界転移ものといえば主人公は若者ばかり。
だがこの作品の主人公はバツイチの三十路。
それでいて生徒から好かれる大らかさと、人の感情の機微を読み取る豊かな感性をもち、なおかつ頭がキレる。
しかもそれを鼻にかけるところがないから話のメインの語り手として読む側もすっと感情移入できる。
この作品の特異性として次に挙げるべきは転移者の数と素性。
クラスの生徒まるごと異世界転移する作品はたまに見かけるがこの作品で転移するのは教職員。
もし職員室が職員会議中にまるっと異世界に転移してしまったら…。
転移者の数は職員だけではなくたまたま居合わせた生徒、卒業生、親御さんなども含めて23名。
特筆すべきはその23名に豊かな個性と役割が与えられていること。
開幕早々23名もの人物が登場したというのに、読み進めれば読み進めるほど彼らが無駄なく配材され構成された23名であることがわかり「多すぎる」と感じることがない。
さらにこの作品の特筆すべき点はストーリーにリアリティがあるところ。
異世界転移もので「そうはならんやろ」という展開をよく見かけるが、この大人を中心とした23名は生き残り元の世界に戻るために冷静に会議を開き、班を構成し、協力し合いながら状況を改善することを目指す。
おそらく自分が異世界転移などしてしまおうものなら同じように立ち回るのではないかと思えるくらい違和感もなければ破綻もない。
そんなサバイバルを軸とした展開が最初は続くが、そのうち異世界に関わる謎、恋愛、登場人物たちの過去などが少しずつ描出されていき、読者をじわりじわりと惹き付ける。
文体は軽妙な一人称を軸とするが、主客が変わるたびに文章の雰囲気も変わり、登場人物の個性を巧みに描き分けている。
また、一人称の軽妙な文体の中に見え隠れする筆者の豊富な語彙力と表現力には感服する。
さらに三人称の文体も操り、読み手に客観的な視座や状況のシリアスさを巧みに伝える。
また、教職や植生や天体、空手や音楽に関する精緻な描写があり、いかに著者が博学か、あるいは丹念な取材を行ったかが窺える点にも感服する。
ストーリーは彼らの日常と内面の機微を丹念に描きながらもテンポ良く進んでいく。
私はまだ第一部までしか読んでいないが、衝撃的な展開と多くの謎を孕んだストーリーにぐいぐい惹き付けられているところだ。
読者が気付かぬうちに張られた伏線は余すところなく回収されていき、プロットや設定がいかに緻密に作り込まれているかが窺える。
特に第一部の第七章は圧巻。
ぜひこのレビューを読んで興味をもたれた方は第七章まで読了していただきたい。
話数は多いが一話あたりは決して長くないため、さほど時間はかからない。
あなたをこのオリジナリティに富み緻密に練り上げられた異世界サバイバルに引き込むことを約束する。
1章読了時の感想となります。
懐かしい小学校の思い出が蘇ってくるような、教師視点による緻密な描写に、十人十色の登場人物がスローテンポで織り成す日常の風景が目に浮かぶようです。そこで発生した天変地異によって、突如としてもたらされた異変という緩急に、適度な緊張感が演出されています……!
某大震災を小学生の頃、まさに所謂「帰りの会」の真っ最中に経験した僕としては、非常にリアリティのある情景描写に序盤から手に汗握りましたね。皆が手を取り合って助け合おうとするのか、はたまたコー○ス○ーティー的な泥沼展開となるのか、2章以降に期待を持たせるような導入でした……!
遠いようで近いような、近いようで遠いような…――
そんな場所に跳ばされてしまった方々のお話です。
もし、こっちの人間がどこかへ跳ばされてしまったなら、ありえそうな地道さと臨場感があります。
生活に密接した困難の中に、謎につぐ謎の展開。
いまのところ、実直な流れですが……ファンタジーやSF好きなものの心をくすぐる、神秘性もほの見え、
若いメンバーに超常的な啓示か、天啓みたいなものが、おりていたのかもしれない流れもあります(彼らが転移するに至った事柄に関わっていそうな予感も……あるような、ないような…)。
じっさい、この先どうなってゆくのか――…
まだ、公開されている分の四分の一も読破できておりませんが、じっくり、読み進めたいと思います。
(うっかり見落としていることも多いようなので、時には前に戻ったりしてみながら…/と、いうことで、また、お邪魔いたします)。
ファンタジーに馴染みがない方も、自然に入れます。むしろ、そういった方にお勧めかも。
作者さまの描く展開のタイミングが、良い意味で読めません。
この作品の魅力は、ストーリー自体はもちろんのこと、1話それぞれごとに、常に陽か陰か、または「何か」の気配がする。飛ばされたのは職員室だけでなく、読み手もまた、リアルタイムでそうなのです。
また、空想小説(ファンタジー小説)に伴う「自由」さに呑まれていない、しっかりした土台と構想、そして筆の技術がさりげなく散りばめられています。
だから、物語を見失う、読み手が置いてけぼりになる恐れがない。
すらすらと読んでいて、それでいて、「このお話はこれから先もきっと楽しめる!」という安心感があるのです。
タグに「残酷描写あり」とか、「暴力描写あり」とあるのは、どういうことなのでしょうか…
今のところ、どちらかというと牧歌的なお話という気がしますが…(でも、羊舎の傍らには、じつは絶えず狼が潜んでいたりしますものね)。
地の果ても、地の底も見たい。
じつはそんなチャレンジャーという方は、ぜひお進みになってください!
空想だろうと現実だろうと、気になりません。
この心境が、あなた様の現実になりますから。