昭和初期のレトロな雰囲気が最高!

舞台は昭和初期、旅する曲芸団の一座の物語。
ある出会いをきっかけに、曲芸団の畸形たちが、事件に巻き込まれていきます。

まず目を引くのが、とにかく美しい筆致と描写。
圧倒的な筆致により創り出される、昭和初期のレトロな空気感が作中全体に漂っています。
その時代にタイムスリップしたかのように、あるいはドラマや映画を見ているかのように、作品の世界に没入できますよ!
もちろん時代考証もしっかりされていますし、難しい部分には注釈もつけて下さっています。
古風というよりも、とにかくお洒落で濃厚な作風だと私は感じました。
この雰囲気、個人的に非常に好きです。すごく引き込まれます。
紙の本でじっくり腰を据えて読みたい!

そして、登場人物。
皆個性的で生き生きとしていて、その息遣いさえも感じられるほど。
主人公である章一郎をはじめ、各々の抱える葛藤や想いが、丁寧に描かれています。
物語後半で起きる事件では、続きが気になって、ページをめくる手が止まりませんでした!

最終話まで読了し、美しい余韻に心満たされております。
素敵な物語です。web小説にしておくには勿体ないほど。
皆様に全力でオススメしたい一作です!

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