裏の世界の狡猾な罠に巻き込まれた曲藝團員たちの、手に汗握る冒険譚!

ホラーでもあり、身体的特徴をそのまま自らの芸とした誇りある芸人たちの群像を描いた映画でもある『フリークス(米・1932年)』に捧げられているという本作。

昭和の初期、畸型たちのうごめくあやしき深川曲芸団もまた、そんな芸人たちが身を寄せ合い、芸を競う場所。
ここでは世間では忌み嫌う人もあるそれぞれの身体的特徴が才能の一部。れっきとした芸人の世界。
だがその世界。より高いギャラのため誰かを出し抜くのは日常茶飯事。主人公である狼男・章一郎も、ふとした出来心から危険な罠にはまってゆく……

現在第十二章の冒頭ですが、とある事件に巻き込まれた彼らの冒険譚から目が離せません。このレビューも、完結後に追記させていただきます。

追記:ついに完結です。

事件の渦中にある章一郎たちの命がけの冒険。
謎がひとつひとつ明らかになるごと、それでも手をさしのべあい〈生きる〉道を選びとっていく仲間たちの姿に心打たれます。

章一郎にとって〈生きること〉はほぼ〈思いを捨てないこと〉なのですが、それが見事に花ひらく終盤、穏やかで美しい余韻が見事でした。

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