その華たちは確かにその時咲いていた

 この物語にでてくる人物は、良くも悪くも、美しくも奇抜でも、一芸をもって身を立てています。日々芸を披露し、拍手を浴び、時にはヤジも受けそれでも止まることなく、場所を変え芸に身を入れていきます。全てはただ、生きていくために。

 ただ生きていくこと。その当たり前のことが難しかった時代。この物語の人物たちは、その時代に確かに生きていました。一人一人が様々な思いと生まれ持って背負った定めに翻弄されながらも、美しく華を咲かせ、逞しく生きぬきました。いまの時代でも、生き抜くことの難しさは変わらないのかもしれません。

 この物語は、曲芸団の芸人たちが時には励まし合い、時には出し抜いたりと絆と溝を交差させながも、数奇な運命の出会いのもと思いを一つにして、己の運命にある光を見つけていく物語です。
 

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