フェラーラ領主エステ家から、マントヴァ侯爵フランチェスコに嫁いだイザベラ。そのときから彼女は、十代にして大忙し。マントヴァを芸術の都にすべく芸術家たちを招いたり、家族が倒れたり、ミラノやベネツィアなどとのバランス感覚に頭を痛めながら外交で大役を果たしたり、フランチェスコ不在のマントヴァを取り仕切ったり。だがフランスの不気味な足音はイタリア全土を揺るがす……。
史実だけではわからない、イザベラ・デステの信念、情愛、苦悩、迷い、押しつぶされそうな不安、胸をえぐるような悲しみといった、細やかな心の描写。そして、タペストリーのように高密度で広がる、季節に彩られた鮮やかな光景。陰謀や戦争の重苦しさと対になる表現が、イザベラやフランチェスコをはじめとする人々の人となりを、史実というよりドラマとして、目の前に活き活きと再現して見せてくれる。
歴史上の偉大な人物もやっぱり、怯えたり惑ったりする、生身の人間なのだということを思い出す。
プリマドンナ。一番のバレリーナの事じゃないですよ!
これは、15世紀、中世イタリアの史実をもとにしたお話です。
プリマドンナ・デルモンド。
それがどういう意味なのかは、作中で語られますが、納得! です。
物語は、イタリアの小国の王女(侯爵令嬢と言ったほうが良いのか)である少女が、ドキドキの恋をしている場面からはじまります。
文章は少々かたいですし、イタリア中世の描写が生き生きとされているので、普段歴史物を読まない読者は、はじめ、とっつきにくさを覚えるかもしれません。
でも、描かれているのは、愛。
そして、賢い女性が、一国の舵取りを、愛する夫とともに担い、やがてイタリア中に、その賢さ、人徳で、名前を知られるようになる───。
サクセスストーリーです!
やがて、乱世の荒波、戦の足音が、主人公を襲います。
しかし!
主人公は、女性ながらも、人徳と、勇気で、立ち向かっていきます。(戦にでるわけではないけれど)
読んでいて、とてもハラハラします。
恋愛、夫婦のすれちがい、◯◯が病気だ。国はどうなるのか。
そして物語のクライマックスには、手に汗を握りますよ。
ぜひ、最後まで読んでいただきたいなあ。
私は、感動しましたよ。
イザベラ・デステという女性を皆さんはご存じですか?
イタリアが今の形に統一されるずっと以前の小国マントヴァを統治した女性で、「最高の女性」「世界一のファーストレディ」とも評されています。
一説ではダ・ヴィンチのモナ・リザのモデルだったとも言われています。今の通説では違いますが。
実際に彼女をモデルにしてダ・ヴィンチが肖像画を描いたこと自体は間違いではなく、ルーヴルに収蔵されています。
日本ではほぼ無名に近い女性ですが、同じ女性として強烈な憧れを抱かずにはいられません。
どういう女性なのか、彼女はどのようにしてマンドヴァを守ってきたのか、ぜひとも本作を読んでその素晴らしさに触れてみてください。
6話までしか読めていませんが、最後まで絶対に読むと強い決意を持っている小説です。それくらい、私は、この小説が好きです。
えっと、まず最初に言っておかないといけないのですが、モナ・リザのモデルの候補は複数存在していまして、これはその説の中の1つイザベラ・デステの物語です。イザベラ・デステは「世界一のファーストレディ」と言われた女性でして、若年で侯位を継承したフェデリーコ2世の摂政としてマントヴァを統治した偉人でもあります。
正直、本文を読んで欲しいのでこれ以上のネタバレはしません。だってイザベラ・デステは日本では無名の人ですが、一人の女性としては、本当に素晴らしい女性で、ファッションの国イタリアの基礎を築いたといっていいくらいの女性なのですから‥‥。
ただ本文は、ちょっと硬いのでラノベとかメインの人にはきついかもしれないです。でも一般文芸を読む人なら是非読んで欲しいですし、イザベラ・デステを知って欲しいです。ほんと、この人、偉人なんですから!