昭和初期の文学香り高く、サーカスの悲しみ。

舞台は昭和初期。小規模なサーカス団。
その名も深川曲芸団……おっと、曲藝團。そこの畸型(きけい)、大柄で怪力の男、骨と皮だらけの男、驚くほどデブな女、さらには……。
と、どんどん、サーカスの出し物に、読者は魅せられていくことになります。
見事な曲芸の数々。
でも、真実、観客が魅せられているのは、日常からかけ離れた、畸型の珍しさ……。

畸型、サーカス団として流れる日々。その哀しさが、丁寧に描かれていきます。

その妖しさときらびやかさ、そしてサーカスの一幕自体が、虚構の夢である昏さ。全てを描きだす筆力は圧巻。

しかし、物語はそれだけでとどまらず、人情や、ハラハラの冒険につながっていくのです。

そして、ラストは……。
はじまりは、あのようにサーカスの垂れ幕の暗さを感じる物語だったのに、
光があふれるような、明るいラストなのです。
主人公の章一郎も、キャラが良い。

これは、温かい物語でした。

オススメですよ!
ぜひ、ご一読を!

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