下々の地にほころびあり

かつてこの国には、異界とこの世を繋ぐ裂け目があった。
ある一族によって繕われたその裂け目は、時を経てほころび、再び異界のものたちが現れるようになった。

中学生の万知也は、異界の怪物（ばけもの）によって父を失い、弟を酷く傷つけられて以来、ある葛藤に苛まされてきた。
しかしそんな万知也の心中にかかわらず次々とほころびは生じ、万知也は悩みながらも一族の皆と共に己の務めを果たそうとする。

異界の怪物（ばけもの）たちと戦いながら、この世のほころびを繕う一族たちの物語。

※後半にグロテスクと感じられる表現が出てきます。ご注意下さい。

※作中の引用は『デミアン』ヘルマン・ヘッセ（高橋健二訳・新潮文庫）より致しました。