あなたの心の機微にふれて

主人公の凪咲は親友の明里の余命宣告に揺れる。
泣き喚く明里。世の非情を代弁する彼女の心理。
その心に明るい光を灯したのが、大好きだった小説の執筆だった。
これは二人を繋ぐ小説の物語。
世の中には、悲しいこととか、苦しいことの方が圧倒的に多い。夢や希望なんて僅かにしか存在しない。
そのネガティブな思想が彼女の小説に影響するように、彼女の葛藤と本心とが、繊細な機微で揺れ動く描写が現実的で美しい。
その結末は、幸か不幸か。
そして素敵なタイトル回収。
一度でも小説を書いたことのある方ならきっと心当たりがある、共感が得られる内容となっている。
ライトな文体で紡がれる作家としての幽玄の境地をここで堪能しよう。

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