おばあちゃんVS孫

おばあちゃんは、アンが将来スーローライフを送ることは別に悪いことではないが、アンにはもったいないと思ったのだ。

アンのおばあちゃん、サラ・ミッチェルは考えた。

頑固な息子と孫をこれまで説得してきた経験を思い返し、寝る準備をしながら、頭をフル回転させていたのだ。

考えに考え、おばあちゃんは話を切り出した。


「アン、スローライフを送るのはいいけど、それまではどうするんだい」


それを聞いたアンは焦った。

さっき納得してくれたんじゃなかったの!?と思いながらもやっぱりが来てしまった「マジでどうしよう」とすごく焦っていた。


アンはスローライフを送ることについて、おばあちゃんがすんなり納得してもらえないことを、前から予想はしていた。

だが、アンは頑固なだけでおばあちゃんを説得する術は持ってはいなかった。そのためアンは、なんとか頑固で突き通そうとしていた。


「どうするも何も、スローライフを送るんだよ」


「そのスローライフを送るにはいろんな知識や力が必要になる。そのことはアンもしっかりわかっているだろう」


「うっ、それは・・・」


アンはおばあちゃんと暮らしている中で、知識や力がどれほど大切で必要なのものなのか、よく理解していた。

そのため、これといった反論をすることはできなかった。


だがアンは頑固である。


こんなことで引き下がるような人間ではない。

アンは脳内で必死に反論する言葉を探した。


「でも、学園に行かなくたって別によくない?今だって十分力はあるし、知識だって本を読めばなんとかなるし」


「アン、学園に通うのと通わないのでは、知識も力も確実に大きな差が出るよ」


おばあちゃんにそう言われたアンは、がよくわからなかった。

アンは、確かに知識と力に差は出るかもしれないが、という意味はどういうことだろう。と心の中で思っていた。

おばあちゃんはアンの様子を伺いながら、作戦を実行することにした。


「とりあえず何校か入試だけでも受けてみない?」

「やだ」


アンは速攻、拒絶した。

だが、おばあちゃんは拒絶されることも想定内であった。

本来ならここで少し引き下がるべきだが、頑固なアンの前でそんなことをしたら何も聞き入れてもらえなくなってしまう。


そのためここからは、アンのおばあちゃんののターンなのだ。


「なんでだい。入試だけでも受ければいいじゃないか」

「やだよ。何校も受けたくない。それに受かったら行けって言うんでしょ」


おばあちゃんは、と言わんばかりに畳み掛けた。


「別におばあちゃんは入試だけでもと言っただけで、もし受かったら行けなんて言ってないよ。それにアン程度の力じゃ受かる学園は無いよ、


おばあちゃんはアンにそう言った。おばあちゃんがこんな言い方をしたのは、目標を叶える確率を上げるための課題があったので、その課題も解決しないといけなかったのだ。


目標は、アンが学園に通うこと。

そのためにはまず、アンに入試を受けるように説得しないといけない。


だが受けるだけではだめなのだ。


入試でできるだけ、アンに実力を全て出させる状況も作らないと、もしかしたら不合格になってしまうかもしれない。

アンの力であれば入試程度なら簡単に合格できるかもしれないが、もし不合格になるようなことがあれば、最終目標のアンが学園に通うという目標が叶わなくなってしまう。

そのため、おばあちゃんはアンに入試を受けるよう促しつつも、入試で本気を出させる状況を作りながら説得しなければならないのだ。


そのため、おばあちゃんはよく考えながらアンを説得していた。


「入試にも受からないような力しかないのに、スローライフを送れるとは到底思えないね。

おばあちゃんはこれでも、魔法には長けているから、昔は学園に通ったり、魔法とかを使ったりする仕事をして力と知識をたくさん身につけたから、こうしてアンと暮らすことができているけど、入試なんかにも受からないアンにスローライフを送るなんて無理だと思うけどね」


「・・・もん・・・」


「え?」

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