魔法の家
裏通りに入ると、二人は一見どこにでもあるごく普通の家で立ち止まった。
おばあちゃんがその家のドアを開けアンを中に招き入れた。
おばあちゃんも家の中に入りドアを閉めた。
アンは『学園に向かっていたはずなのになんで家?』と思いおばあちゃんに訊いた。
「おばあちゃん。私たち学園に行くんだよね。なんで家?」
するとそれを聞いたおばあちゃんは、一瞬キョトンとした顔をしたがすぐに微笑んで、
「そういえばあの時は寝てたし、まだ幼かったもんね。そりゃあ覚えてないわよね。まあ分かるわよ。
いい、アン。もし何かあったらこの家に来るんだよ。
それと・・・見せて教えるより実践の方がいいか」
と言うとアンをドアの前に来させ、
「いいかい、アン。このドアのドアノブに手をかけて、ドアを2回ノックするんだ。そして、はっきりと『ミッチェルの名の下に移動せよ。テレポートインルリシア』って言うんだよ。間違えないようにね。早速やってごらん」
アンは『ええ...』と思いながらも、『やってみる』と言ってドアノブに手をかけ、ドアを2回ノックし、
「ミッチェルの名の下に移動せよ。テレポートインルリシア」
と言うとおばあちゃんが
「ドアを開けてごらん」
そう言ったのでアンは鍵を外しドアを開けた。
するとそこは、さっきまでいた裏通りより雰囲気が暗い裏通りだった。
アンはびっくりして、ドアを一度閉めおばあちゃんの顔を見て
「おばあちゃん!」
と言うと、おばあちゃんは大笑いした。
するとおばあちゃんは
「いいかいアン。この家には魔法がかかってる。さっきのようにやると、行きたい場所に連れて行ってくれるんだ。
さっきの『ルリシア』と言うところを行きたい場所の地名にすれば、大体はテレポートできる。
だけど、たまに場所によっては出来なかったりするからそこは、事前に確認しておくといいよ。
それと、この魔法が使えるのはミッチェルの血を引き継いでいる者かその配偶者しかできない。
だから今この魔法が使えるのは、おばあちゃんとアンの二人だけだ。そのことをよく覚えておくんだよ。
まあ、この家には他にも色々魔法がかかっているが、追々でいいだろう。
この家を緊急時以外で使う時はおばあちゃんに、事前に伝えること。いいね?」
「うん...わかった...」
アンは少し頭が追いつかなかったが、もし何かあったらこの家に来ること、この家には魔法がかかっていること、魔法が使えるのは自分とおばあちゃんだけということ、そして使う時はおばあちゃんに事前に伝えることだけは分かった。
そうして二人は家を出て裏通りを歩き、色々話しながら学園に向かった。
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