魔法力検知
手続きを済ませ椅子に座るとドアがノックされ、バリアスが大事そうに布に包まれた箱のような物を抱えながら部屋に入室してきた。
「学園長、お持ちしました」
とバリアスはアン達の目の前にある、ローテーブルにそれをそっと置いた。
アンは、とても丁重に扱われているそれを見て「これは?」とリリアたちに聞くと、皆少しニコニコしながら、こちらを見ていた。
するとリリアは、結び目を解いた。布に包まれていたのは高級そうな木箱だった。
アンはずっと頭に「?」を浮かべながら見ていると、リリアが木箱の上蓋を開け、木箱の中には大きく綺麗な水晶玉のようなものが入っていた。
アンはそれを見て、今から一体何しようとしてるんだよと思っている間に、リリアはアンの目の前に台座と水晶玉を置いた。
「はい!アンちゃん!」とリリアは言いながらニコニコの笑顔でアンの方に顔を向けていた。
アンはその笑顔がニコニコし過ぎて少し恐怖と思った。
そして訳が分からずアンが戸惑っていると、それに気づいたバリアスとおばあちゃんが
「学園長、まずは使い方などの説明されてはいかがですか?」
「そうよ、この子「魔法力検知玉」初めて見るんだから、はい!って言われてもわからないわよ」
と二人に言われ、リリアは「あっ」と思い説明を始めた。
「ごめんね、アンちゃん。これについて説明しなきゃね。
これは、魔法力検知玉と言って、今は透明で見えないけど、この水晶玉の中には煙みたいなものが入っていて、手を近づけると、その人の得意魔法と現在持つことができる魔力の最大保持量によって煙の色が変化するの。
赤色なら炎系魔法、青色なら水、氷系魔法、緑なら大地魔法の植物系魔法、茶色なら大地魔法の土系魔法、黄色なら大地系魔法の天候系魔法、白色であれば光魔法、黒色であれば闇魔法だけど、白と黒はほぼありえないからまあ論外なんだけど、それらの色が濃く綺麗な色であればあるほど魔力を多く保持していることになるの。それじゃあアンちゃん、まず両手を出して」
とリリアに言われアンは言われるがまま両手を開いて前に出して見せた。
それを確認したリリアは
「それじゃあ、その手をそっと魔法力検知玉にあててみて」
とアンに言い、アンは「こう?」と言いながら手を近づけた。
「さあ、アンちゃんは何色に変わるかしら!何色にしてもきっと濃い色ね」
とリリアが話していると「バリンッ」と大きな音を立てて魔法力検知玉が綺麗に粉々に割れた。
それを見たみんなは唖然とした。三秒程経った頃、皆頭の理解が追いついたその時、リリアが椅子から立ち上がり頭を抱えながら
「あああああぁぁぁぁ〜〜〜〜!!!!!!!」
と叫んだ。
アンはその瞬間、「あ、やばい。自分何かしちゃったのかもしれない。何もしてないけど」と心の中で呟いた。
そんなことを思っていると、リリアは叫び終わりそれと同時に割れた水晶の破片を見て
「なぜ割れたの!!アンちゃん何かした?」
「何にもしてないよ。ちゃんとみてたでしょ?」
アンは少し不安な思いを抱えながらそう答えた。
するとリリアは、アンの答えを聞き確かに。と思い直し「そうね」と呟きながらと今度はサラの方に顔をむけて
「ねぇ、なんで割れたの!?」
と目を見開きながらサラに問いかけた。
「私が知るわけないでしょう。」
「でもサラは、魔法力検知玉の製作手伝ってたわよね!?」
「少し関わったっていうだけで、実際の製作は何も手伝ってないから、聞かれてもわからないわよ」
とリリアとおばあちゃんが話していると、部屋のドアがノックされた。
次の更新予定
毎週 月曜日 20:00 予定は変更される可能性があります
私はスローライフを送りたい 古味矢川 侑 @KomiyagawaYu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。私はスローライフを送りたいの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます